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損害賠償金の税務上の取扱い(その1)-原則的な考え方

2012年11月号の税経通信で「損害賠償金の処理Q&A」という特集が組まれていました。

まず、損害賠償金等の税務上の取扱いについての基本的な考え方については元江戸川税務署長の内川氏が書いた「賠償金等に関する最近の傾向と税務上の考え方」という論文にまとめられていました。

1.損害賠償金の処理根拠

上記の論文では、損害賠償金等の課税上の問題は、個人・法人を通じて広範囲に及ぶが、税法ではそのすべてが規定されているわけではないので、実務上は国税庁が公表している通達等により処理せざるを得ないと思われる、とされています。

その上で、法人が支出した役員等の損害賠償金の処理について、法人税法基本通達9-7-16が紹介されています。同通達の内容は以下の通りです。

(法人が支出した役員等の損害賠償金)
9-7-16 法人の役員又は使用人がした行為等によって他人に与えた損害につき法人がその損害賠償金を支出した場合には、次による。

(1) その損害賠償金の対象となった行為等が法人の業務の遂行に関連するものであり、かつ、故意又は重過失に基づかないものである場合には、その支出した損害賠償金の額は給与以外の損金の額に算入する。

(2) その損害賠償金の対象となった行為等が、法人の業務の遂行に関連するものであるが故意又は重過失に基づくものである場合又は法人の業務の遂行に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員又は使用人に対する債権とする。

上記で特に気を付けておくべきなのは、法人の業務の遂行に関連するものであっても「故意又は重過失に基づくものである場合」については、「役員又は使用人に対する債権」となるという点です。つまり、この段階では損金算入が認めれないどころか益金計上が必要となります。

そうはいっても、従業員が多額の横領を行っていたようなケースでは現実的に回収ができないこともありえます。このような場合の取扱いについては、法人税法基本通達9-6-17で以下のように定められています。

(損害賠償金に係る債権の処理)
9-7-16(2)に定める債権につき、その役員又は使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部又は一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合(9-7-16(2)の損害賠償金相当額を債権として計上しないで損金の額に算入した場合を含む。)には、これを認める。ただし、当該貸倒れ等とした金額のうちその役員又は使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、これを当該役員又は使用人に対する給与とする。

上記をまとめると、第一段階として損害賠償請求権は役員や従業員に対する債権として認識したうえで、第二段階として回収不能による貸倒損失の計上の検討へ進むという流れになるということといえます。

2.損害賠償金の収益の帰属時期

損害賠償金の収益の帰属時期については、法人税法基本通達2-1-43において以下のように定められています。

(損害賠償金等の帰属の時期)

2-1-43 他の者から支払を受ける損害賠償金(債務の履行遅滞による損害金を含む。以下2-1-43において同じ。)の額は、その支払を受けるべきことが確定した日の属する事業年度の益金の額に算入するのであるが、法人がその損害賠償金の額について実際に支払を受けた日の属する事業年度の益金の額に算入している場合には、これを認める。(昭55年直法2-8「六」により追加、平12年課法2-7「二」により改正)

(注) 当該損害賠償金の請求の基因となった損害に係る損失の額は、保険金又は共済金により補てんされる部分の金額を除き、その損害の発生した日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。

上記を簡単に言えば、原則は支払いを受けることが確定した期の益金とすべきであるが、現金ベースで処理している場合にはそれでもOKということになります。
ここでのポイントは、上記の通達は「他の者から支払を受ける損害賠償金」に限定されているという点です。

つまり、会社にとって「他の者」に該当しない役員や従業員に対する損害賠償金については上記の通達は適用されません。というわけで、役員や従業員の不正が発覚した場合に、会社が当該役員や従業員に対して有することとなった損害賠償請求権についてはどのように考えるのかが問題となりますが、この点については次回にします。

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