株主総会の延期は可能(法務省見解)
法務省から2011年3月25日に株主総会の開催時期についての見解をHPで発表しています。
以下、法務省の発表内容を引用します(太字は個人的に重要と思われる部分をハイライトしたものです)。
東北地方太平洋沖地震の影響により,当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況となっている株式会社があると考えられますので,会社法の関連規定について,以下のとおりお知らせします。
会社法第296条第1項は,株式会社の定時株主総会は,毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならないものと規定していますが,会社法上,事業年度の終了後3か月以内に必ず定時株主総会を招集しなければならないものとされているわけではありません。
東北地方太平洋沖地震の影響により,当初予定した時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じている場合には,そのような状況が解消され,開催が可能となった時点で定時株主総会を開催することとすれば,上記規定に違反することにはならないと考えられます。
なお,議決権行使のための基準日を定める場合,基準日株主が行使することができる権利は,当該基準日から3か月以内に行使するものに限られます(会社法第124条第2項)。したがって,定款に定められた基準日から3か月を経過した後に定時株主総会が開催される場合に,議決権行使の基準日を定めるためには,当該基準日の2週間前までに,当該基準日及び基準日株主が行使することができる権利の内容を公告する必要があります(会社法第124条第3項本文)。
また定款に剰余金の配当の基準日を定めている場合に,その基準日株主に剰余金の配当をするためには,当該基準日から3か月以内の日を効力発生日とする剰余金の配当に係る決議(会社法第454条第1項等)をする必要があります。
会社法296条第1項では「定時株主総会は、毎事業年度の終了後一定の時期に招集しなければならない?」と定められているだけなので、事業年度終了後3カ月以内に株主総会を開催しなくても違法ではないということが明らかにされています。
ただし、新たな基準日等については公告が必要となります。会社法124条第3項の規定は、
「株式会社は、基準日を定めたときは、当該基準日の二週間前までに、当該基準日及び前項の規定により定めた事項を公告しなければならない。ただし、定款に当該基準日及び当該事項について定めがあるときは、この限りでない。」となっています。
すなわち定款定めていなければ公告が必要ということになり、定款の基準日から3カ月を経過して総会が開催される場合は有効な基準日がないから新たに公告が必要ということだと思います。
総会の基準日を3月31日とすると定款で定めていた場合に、それ以外の基準日を採用することは定款に違反することになるので 、株主総会の決議の取消事由(会社法第831条第1項第1号)となってしまわないのかが気になります。
しかし、原則として総会の特別決議で定款が変更できることからすると、実務上は、基準日変更について特別決議をとっておくのが無難というようなことになるんでしょうか・・・
おそらくそのうち定款違反との関係をどのように考えるのかというのも明確になると思いますので成り行きを見守りたいと思います。
剰余金の配当について、会社法454条1項では以下のように定められています。
「株式会社は、前条の規定による剰余金の配当をしようとするときは、その都度、株主総会の決議によって、次に掲げる事項を定めなければならない。
一 配当財産の種類(当該株式会社の株式等を除く。)及び帳簿価額の総額
二 株主に対する配当財産の割当てに関する事項
三 当該剰余金の配当がその効力を生ずる日」
つまり、剰余金の配当には原則として総会決議が必要なので、定款で定めた基準日から3カ月以内に総会が開催できない場合は、やはり基準日を設定し直す必要があるということだと考えられます。
日々成長