中国経済のバブルは継続するか?(その1)
「2012年中国経済は減速する?」というタイトルで中国経済について減速を予測する立場の意見を紹介しましたが、今回は全く逆の立場の意見を考えてみます。
今回は、「中国バブル経済はアメリカに勝つ」(副島隆彦著)という書籍を参考にしました。副島氏の書籍を読んだのはこれが初めてですが、率直な感想としては、面白いことも書いてありますが、表現が多少行き過ぎている部分もあるように思いました。
基本的に同書は米中の対決に巻き込まれる(米国に従属する)日本というスタンスで書かれています。そして、米国の経済(ドル)が崩壊するため、結果として中国(元)の時代がやってくると予測しています。
例えば、「すべての問題の中心はニューヨークである。アメリカ帝国の心臓部で金融爆発が起こる。これ以外のことはすべてまやかしや目くらましである。そしてアメリカが他の国々に対して抱えている大借金を返さないという問題につながる。」としています。
一方で中国の経済はいかなる事態があっても崩れないとしています。中国の不動産価格市場は、2009年初頭から暴騰し、2010年4月に政府の規制が入るまでの1.5年間で平均的に約3倍の値段になったとしていますが、筆者は現地調査の結果これはバブルではないと結論付けています。
現場を見て判断したということなので、姿勢は評価はできますが、日本のバブル時代に現場を見た人間がバブルと気づいていたとも思えないので論拠に乏しいとも言えます。もっとも、こういう書き方をすると、私も筆者がいうところの「反中国主義者」とされてしまうかもしれませんが・・・
中国で政府の規制が始まってから、余った資金は日本の不動産等に流れ込んできているということで、これは実際に中国人の日本不動産購入ツアー等の存在がよく報道されていることからも事実その通りだと思います。
日銀が、RIETも買取対象に含めたのは不動産価格を上昇させて、中国から人民元を稼ぐためという意図があったのであったのかと考えてしまいます。
中国の成長を顕著に示す事例としては、2009年の輸出額において中国は1兆2017億ドル(約112兆円)でドイツを抜いて世界首位となったことがあります。
なお、中国税関総署が1月10日に発表した貿易統計によれば、2010年も1兆5779億ドル(約131兆円)で、前年比31.3%増で2年連続で世界1位となっています。さらに2010年中にGDPでは日本を追い抜き世界第2位となったことは御存じの通りです。
(その2に続く)
日々成長。