閉じる
閉じる
閉じる
  1. 短期前払費用特例適用の留意点
  2. 会計監査人の異動は209件-2021年度モニタリングレポート
  3. 執行役員から社長選出の定款変更が否決された株主総会事例
  4. 電子取引制度、保存要件未充足で青色申告取消になる?
  5. 2021年3月期有報、KAMなしは119社
  6. 社会保険等で引き続き押印が必要な手続きは何?
  7. 2020年4月~2021年6月に61社が減資関連の適時開示を実施
  8. 電子取引制度-Excel台帳でも検索要件を満たせるようです
  9. 低解約返戻保険等の改正所得税改正通達が公表されました
  10. 中小企業経営資源集約化税制、DDが適用要件
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

100%子会社株式の評価損に対する税効果(グループ法人税)

子会社の業績が芳しくなく実質価額が著しく下落していた場合には、個別財務諸表上で子会社株式に対し評価損(減損)を計上する必要がありますが、従来、この評価損に対して繰延税金資産を計上していたケースがあります。

繰延税金資産を計上できるとする根拠としては二つ考えられます。

(1)子会社が解散時に株式消滅損として損金算入可能であったこと

(2)一定の要件を満たせば非上場有価証券の評価損は損金算入可能であること

ただし、いずれにせよ、当該評価損に係る将来減算一時差異について,監査委員会報告第66号「繰延税金資産の回収可能性の判断に関する監査上の取扱い」に従って回収可能性があると判断された場合のみ繰延税金資産の計上が認められることになります。
子会社株式の評価損がスケジューリング可能と判断されるのは、かなり限定的なケースと考えられますので、繰延税金資産が計上されているとすれば、同報告におけるいわゆる①区分の会社(期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社)であることが多いものと考えられます。

まず上記(1)についてですが、グループ法人税が導入されたことにあわせて、100%子会社の場合、解散時の株式消滅損の損金算入は認められなくなりました。
ということは、上記(1)の考え方からすれば、もはや損金算入される可能性がなくなるわけですので、一時差異には該当せず、したがって繰延税金資産を計上する余地はないものと考えられます。

この点、 株式消滅損が損金算入できなくなる見合いとして、子会社の繰越欠損金を引き継げるようになるのだから結果的に影響はないという見解もあるようですが、子会社株式評価損と子会社の繰越欠損金はイコールではありませんし、実際に解散して子会社の繰越欠損金が引き継がれるまでは子会社における一時差異であると考えられるので、子会社の繰越欠損金に対して繰延税金資産を計上するというのは理論的ではないと考えられます。

仮にこの理屈でいくと、100%子会社で繰越欠損金が計上された場合は、親会社で繰延税金資産を計上すべきということになりかねません。
また、合併等の影響を企業結合年度から反映させるものとしている企業結合の際の税効果会計の考え方(「企業会計基準適用指針第10号「企業結合会計基準及び事業分離等会計基準に関する適用指針」 第75項及び第90項)からしても、実際に繰越欠損金を引き継いだ時点で繰延税金資産を計上するとするのが妥当なものと考えられます。

次に(2)の根拠については、非上場の子会社株式の場合は、法人税法基本通達9-1-9の要件をみたせば、現時点でもなお評価損の損金算入できる可能生があります。破産等の状況(同通達(1)に掲げられている状況)になくとも、同通達(2)の「当該事業年度終了の日における当該有価証券の発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額が当該有価証券を取得した時の当該発行法人の1株又は1口当たりの純資産価額に比しておおむね50%以上下回ることとなったこと」という要件、および近い将来回復の見込がないこと(基本通達9-1-11)という要件を満たすケースは考えられ、なお損金算入が可能とも考えられます。

ただし、株式消滅損の損金算入が認められなくなる見返りとして、当該子会社の繰越欠損金を引き継ぐことができるという改正がおこなわれているため、仮に100%子会社の評価損を損金算入したうえで、さらに子会社の繰越欠損金を引き継げるとすると二重取りが可能になってしまいます。

例えば、100%子会社の株式が当初1000だったものを簿価1まで評価減を実施して999を損金算入したうえで、子会社を解散し、その時点で子会社で生じている繰越欠損金(仮に500とします)を親会社が引き継げるということになります。当初1000しか出資していないにもかかわらず、この場合だと結果として1499課税所得を減少させる効果が生じます。

これは明らかに税法の不備なので、平成23年改正として、この部分について子会社株式の評価損が損金算入できないように改正される見込みでしたが、法案は成立していないようです。こういう場合、平成24年の改正となるのか、今後23年改正(4月1日以降開始事業年度から適用)として遡及して適用されることがあるのかはわかりません。

このような状況において、繰延税金の回収可能性の判定にあたり、回収可能性があるとして100%子会社株式の評価損に対して繰延税金資産を計上していた場合に、この繰延税金資産をどうするのかが問題となります

この点は、やはり来期(?)以降、損金算入が認められなくなると考えられますので今回の決算で繰延税金資産を取り崩しておくのが無難だと考えられます。法人税法が変わらなくても、通達を改正するのは可能なはずですし、通達が改正されてしまえば、100%子会社株式の評価損は損金算入ができなくなるものと考えられるためです。

スケジューリングなど面倒なことをせず繰延税金資産を計上していた会社で、頭を悩ます必要があるのは皮肉なものですね

最後になりましたが、この3月期を最後のチャンスとみて損金算入をトライするという手も考えられますので念のため。もちろんこの場合も繰延税金資産は取り崩されます。

日々成長。

関連記事

  1. 消費税(その12)-課税売上割合の算出2

  2. 所得拡大促進税制の確認(その3)-雇用者給与等支給額(各論)

  3. 会計監査人の責任限定契約は増えている?

  4. 役員賞与引当金と税効果

  5. スマホの耐用年数は何年?

  6. 通勤手当の非課税限度額引き上げ等ー平成28年度税制改正大綱

カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 11,284,278 アクセス
ページ上部へ戻る