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無対価吸収分割の会計処理-100%子会社から100%子会社

親会社から100%子会社への無対価による吸収分割の会計処理については、「無対価による吸収分割-親会社から100%子会社」で書いたので、今回は以下の図のような100%子会社間での無対価による吸収分割の会計処理について確認します。

何故このような処理が認められるかについては、親会社から100%子会社への吸収分割と同様、一言でいえば財布は一つだから無駄な手続きは省いてもいいということだといえます。

1.吸収分割会社(S1社)の会計処理

企業結合適用指針255項において、子会社間で分割型の会社分割により事業が移転する場合の会計処理は、「吸収分割会社である子会社の会計処理は、分割型の会社分割により親会社が子会社に事業を移転する場合の親会社の処理に準じて処理(第233項参照)に準じて処理する。」とされています。

したがって、親会社から100%子会社への会社分割における親会社の処理と基本的には同じです。

具体的には、S1社(吸収分割会社・・・事業を分割譲渡する側)では、移転事業に係る株主資本相当額に基づき株主資本を変動させることになります。減少させる株主資本の内訳は、取締役会等の企業の意思決定機関において定められた結果に従うこととされています。

なお、S1社で株主資本を変動させるにあたっては、移転事業に係る株主資本相当額から移転事業に係る繰延税金資産及び負債を控除しないことに注意が必要です。

仕訳のイメージとしては以下のようになります。

2.吸収分割承継会社(S2社)の会計処理

吸収分割承継会社である他の子会社の会計処理(S2社)は、「分割型の会社分割により親会社が子会社に事業を移転する場合の子会社の会計処理(第234項参照)に準じて処理する(第409項参照)」(企業結合適用指針第256項)とされています。

①受け入れた資産及び負債の会計処理

分割期日の前日に付された適正な帳簿価額(S1社の個別上の簿価)により計上することとされています(227項(1))。

ここでのポイントは、「適正な帳簿価額」がS1社の個別上の簿価を意味するという点です。親会社から100%子会社への吸収分割の場合は、適正な帳簿価額が連結上の簿価を意味した点と比較して理解しておく必要があります。

共通支配下の取引である会社分割においては、親会社と子会社との間の会社分割のように垂直系の会社分割に該当する場合は、「連結上の簿価」を基礎として会計処理することが必要となるのに対して、同一の親会社に支配されている子会社間の会社分割のように水平系の会社分割に該当する場合には「個別上の簿価」を基礎として会計処理することが必要となるという特徴があります。

②増加すべき株主資本の会計処理

吸収分割承継会社である他の子会社(S2社)は、吸収分割会社である子会社(S1社)で変動させた株主資本の額を、会社法の規定に基づき計上することになります(203-2項(2)②、256項)。

具体的には、変動したS1社の株主資本の各項目を引き継ぐことを原則としますが、S1社で変動させた資本金および資本準備金は「その他資本剰余金」として引継ぎ、利益準備金は「その他利益剰余金」として引き継ぐことになります(437-3項参照)。

これは、S2社は対価として株式を発行していないため、会社法上、S2社の資本金及び準備金を増加させることは適当ではないと解されることによります。

なお、移転事業に係る評価・換算差額金等についても引継ぐことになります。

<S2社が分割期日にS1社株式を保有している場合>

S1社からS2社に事業の一部が移転すると、S1社単体で見た場合の企業価値には何らかの影響があるのが普通です。したがって、S2社がS1社株式を有している場合には、S1社株式の評価をどうするのかという問題が生じます。

この点ついて、企業結合益要指針203-2項(2)②では、「なお、吸収分割承継会社である他の子会社が分割期日に吸収分割会社である子会社の株式を保有している場合には、当該吸収分割後の吸収分割会社の財務内容等を勘案して、期末において、当該吸収分割会社の株式の帳簿価額について、相当の減額の要否を検討することとなる。」としていますので、移転する純資産額が大きな場合などは単体での評価減に注意が必要です。

3.親会社での会計処理

単体でみるとS1社の価値の一部がS2社へ移転したことになるので、親会社の会計処理としては、会社分割直前の子会社(吸収分割会社であるS1社)の株式の適正な帳簿価額のうち、合理的に按分する方法によって算定した引きかえられたものとみなされる部分の価額をもって、S1社株式からS2社株式へ振り替える必要があります(295項)。

295項で掲げられている按分方法は以下の通りです。


上記三つのいずれかで算出された金額をもって以下の仕訳が必要となります。

(借方)S2社株式 XXXX  (貸方)S1社株式 XXXX

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