何がユニクロを訴訟に踏み切らせたか?-「ユニクロ帝国の光と影」を読んで
「ユニクロ帝国の光と影」(横田増生著 文藝春秋)という本をめぐってユニクロが名誉棄損で訴訟を起こしたという話を聞いて、この本を読んでみました。
真実かどうかは裁判で争ってもらうとして、書いてあることは、
・ユニクロの生い立ち
・柳井氏はワンマンの経営者であり、本来柳井氏が責任を取るべきでないかという場合でも他の人に責任を転嫁しているといような主張
・柳井氏の生い立ちと家族、特に父親のこと(父親が一松組というヤクザと関係があった、有名政治家の後援会長も務めた)
・ ユニクロでの労働について(国内)、店舗には詳細なマニュアルがあり、序列関係が厳しく軍隊のようというような元従業員の話。よってアルバイト等の定着率は悪く数日でやめてしまうのも日常茶飯事という話。
・店長の労働環境が過酷で給料もあまり高くないという話。特に2007年4月以降は一定時間以上(月240時間)の労働が禁止されるようになったが、タイムカードを先に押すなどして労働していないことにしつつ、実際には繁忙期には月300時間を超えて残業しているという話。
・中国工場での労働環境の話。欧米企業のラインに比べて長時間労働が行われているというような話。賃金についても安いといようようなニュアンスで書かれているが、他の企業との比較で高いとか安いということはかかれていない。
・中国の人件費が高騰しているが、ユニクロの仕入れ値は上がっていないので工場としてはほとんど利益になっていないというような話。ただし、そういいながらも注文したものをあとから取り消すようなことはなく、取引は公正という工場側の担当者の話。
・ZARAとの比較
というようなことです。
読んだ感想としては、あえて名誉棄損で訴訟を起こすような内容ではない気がします。ほうっておけばよかったのではないかと思います。現に訴訟になったという話題性から私のようにこの本を読んでみようという人がいるわけですから・・・
確かに、店舗での労働環境や店長の待遇が真実でないとすると、人材を募集するうえでマイナスに作用するかもしれませんが、この本にそこまでの影響力はないでしょう。これだけユニクロの店舗が増えてこれば、知り合いで実際に働いたことのある人から話を聞くことも比較的容易だと思いますし、ネットからある程度情報を入手することもできるので、この本の影響はほとんどないと言えます。
むしろ過剰反応しなければならない理由があるのかと 、勘ぐってしまいます。
中国での長時間労働については、他に働き口がないような状況で無理やり働かされているのかどうかについて述べられていませんので、いいも悪いも言い難いというのが正直なところです。例えば、長時間労働で自殺者が多数出ているというのなら問題でしょうが、自分の意思で頑張っているのであれば周りがとやかくいうことではないように思います。
繰り返しになりますが、敢えて訴訟にしなくてもよかったのでは・・・
日々成長