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損賠賠償の支払と他社への求償金額は総額表示 or 純額表示?

A社から損害賠償の請求を受けたものの、その損害の原因がB社にあってB社に損害賠償を請求した場合に、A社への支払とB社からの賠償金の受取は損益計算書上、総額で表示すべきか純額で表示すべきでしょうか?

仮にA社からの請求額が100、B社への請求が95であった場合、純額の5を当社の帰責部分と考えて「損害賠償金」等の科目で損益計算書に表示すべきか、「損害賠償金100」、「受取損害賠償金95」とすべきかという問題です。

上記の例であれば、何らかの金額が損益計算書に表示されますが、A社からの請求とB社への請求が同額であれば、純額表示の場合、損益計算書には何ら表示がなされないという違いがあります。

原則的に考えれば、企業会計原則では総額主義の原則がとられている以上、例え同額であったとしても両建てで計上すべきだと考えられます。少なくとも同額であれば純額、差額が生じていれば総額で表示するというのは整合性を欠いているので妥当ではないと考えられます。

また、A社からの請求とB社への請求が期をまたいだような場合に、純額表示を徹底しようとすると、B社からもらえる額が確定するまではA社からの請求額を費用(損失)として計上することはできないということになってしまします。仮に期をまたいだ場合にB社への請求額を収益(利益)に計上するのであれば、結局のところ総額表示を行っていることになります。

上記のような損害賠償のケースはあまりないかもしれませんが、例えば自動車保険を使用したような場合にも上記の議論は当てはまります。

例えば、免責金額0の自動車保険に加入している場合で、事故等で車を修理し全額自動車保険で填補されたとします。特に、保険会社から修理業者へ支払がなされたような場合には会社にお金が入ってくるわけでも出ていくわけでもないので何ら会計処理を行わなくてもよいように思えますが、原則的には修繕費と受取保険金を総額(両建て)で計上すべきと考えられます。
この場合、両建てで計上すると修繕費に対する消費税が計上されることになるので消費税にも影響することになります。

なお、為替差損益は為替差益と為替差損を相殺して表示することになりますが、これは「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の第28項において純額で損益計算書に表示するとされていることによります。仮にこのように定められていなければ、面倒でも両建てで表示する必要があるものと考えられます。

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