平成23年税制改正による租税特別措置法改正(その3)
平成23年の税制改正による租税特別措置法の改正について“平成23年の税制改正による租税特別措置法の改正(その2)”までで確認してきましたが、項目としてはまだたくさんあります。
国際戦略総合特別区域における指定特定事業法人の課税の特例(租税特別措置法60条の2)や認定研究開発事業法人等の課税の特例(租税特別措置法60条の3)など新設されたものもありますが、内容を見る限りあまり一般的な内容ではないようです。
しがたって、最後に「交際費の損金不算入」と「特定資産の買い替えの場合等の特例」についてのみ確認することにします。
(1)交際費の損金不算入(租税特別措置法61条の4第1項)
交際費については、原則損金不算入で、中小企業者については支出する交際費等の額の年600万以下の部分の金額の10%と年600万円を超える部分の合計額が損金不算入となるという基本的な仕組みに変化はありません。
ただし、中小企業者の範囲から大法人の完全支配子会社が除かれるという点が改正により変更されています。
前回の貸倒引当金の部分でも触れましたが、大会社とは以下の法人を意味します。普通は以下の①に気を付けておけばよいのではないかと思います。
①資本金の額または出資金の額が5億円以上である法人
②相互会社または外国相互会社
③法人課税信託の受託法人
なお、法人税法基本通達16-5-1により、大法人による完全支配関係の判定にあたっては間接保有も考慮する必要があるとされているので、例えば以下のようなケースにおけるS2社も中小企業者等の特例の適用はないことになるので注意が必要です。
つまりP社がS2社の100%を間接保有していることになるので、大法人による完全支配関係があるものとして上記特例の適用を受けることはできないということになります。
この改正の適用時期は、平成23年4月1日以後開始事業年度から適用されるとされています。
(2)特定の資産の買換えの場合等の課税の特例(租税特別措置法65条の7)
この制度は、法人が一定の対象資産を買い換えた場合に、その買換資産について、譲渡益の80%の範囲内で、その買換資産の帳簿価額を損金経理により減額したとき等について圧縮記帳を行うことができるというものです。
平成23年税制改正により、この適用期限が基本的に平成26年3月31日まで延長されています。
ただし、従来この特例の対象であった「国内にある土地等,建物又は構築物で,所有期間が10年を超えるものから国内にある土地等,建物,構築物若しくは機械装置又は鉄道事業用車両運搬具への買換え」については、適用期限の延長はありません(改正前の平成23年12月31日までで終了)
この他比較的関係ありそうなのが「所有期間10年超の建物等の既成市街地等の内から外への買換え」ですが、改正により譲渡資産の範囲から店舗が除外されています。
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