年末調整に関連する改正点確認
そろそろ年末調整の時期なので、今回は年末調整についての確認することにします。
年末調整は、簡単に言えば概算で源泉徴収していた所得税額と実際に納付すべき税額との差額を精算する手続きで、従業員の側からすればいくつかの書類を会社に提出しさえすれば、会社がやってくれる手続きです。
年末調整により税金が戻ってくるケースの方が多いですが、追加徴収となっていつもよりも給料の手取りが少なくなるというケースも発生することがあります。
なお、不足額が発生し追加徴収が必要な場合、不足額を徴収するとその月の税引き手取り給料が、今年1月から年末調整を行った月の前月までの税引手取給料の平均月額の70%未満となるような人については「年末調整による不足額徴収繰延承認申請書」を作成して給与の支払者の所轄税務署表に提出して承認を受ければ、不足額を翌年1月と2月に繰り延べて徴収することができるという点は頭の片隅に入れておくと役立つことがあるかもしれません。
昨年と比較して、今期の年末調整で変更になっているのは以下の三点です。
(1)扶養控除の改正
(2)同居特別障害者に対する障害者控除の改正
(3)住宅資金の貸付等を受けた場合の課税の特例の廃止
(1)扶養控除の改正
扶養控除については以下の点が改正されています。
①扶養親族のうち年齢が16歳未満の人(年少扶養親族)に対する扶養控除が廃止となっています。
②扶養親族のうち年齢が16歳以上19歳未満の人に対する扶養控除の上乗せ(改正前25万円)が廃止され、これらの人に対する扶養控除の額が38万円となっています。なお、19歳以上23歳未満の人については、従来通りの上乗せがあり63万円となっています。
③源泉徴収税額表においては控除対象配偶者・控除対象扶養親族の人数など(扶養親族等の数)に応じて 税額を算出することとされました。
(2)同居特別障害者に対する障害者控除の改正
年少扶養親族(16歳未満の扶養親族)に対する扶養控除の廃止に伴い、居住者の控除対象配偶者または扶養親族が同居特別障害者である場合に、配偶者控除または扶養控除の額に35万円を加算する措置が、同居特別障害者に対する障害者控除の額を1人につき75万円に改正されています。従来、配偶者控除または扶養控除の額に35万円を加算していたものを障害者控除として整理しただけで実質的な影響はありません。
(3)住宅資金の貸付等を受けた場合の課税の特例の廃止
従来は、給与所得者等が自己の居住の用に供する住宅等の取得に関して、その使用者等から受ける以下の経済利益等で、平成22年12月31日までの間に係るものについては、使用人である地位に基づいて通常受ける経済的利益等の水準を著しく超える部分を除き、所得税が課されないこととされていた取扱いが、平成22年12月31日をもって廃止されています。
なお、平成22年12月31日以前に使用者等から住宅資金の貸付け等を受けている人に対しては引き続き上記の特例が適用されます。
①住宅等取得の資金に充てるために、使用者から使用人である地位に基づいて無利息または低い利息により資金を借り受けた場合の経済的利益
②住宅等取得資金を金融機関等から借りて受けている場合の利子の支払い等に充てるために、その利子の全部または一部に相当する金額を、使用者から使用人である地位に基づいて支払いを受けた場合の利子補給
③勤労者財産形成促進法(いわゆる財形)に基づき、使用者や事業主団体が講ずる負担軽減措置等により受ける経済的利益や補給金
最近の経済情勢から住宅ローンの利子補給を行っている会社がどれくらいあるのかは変わりませんが、万一なんら検討せずに今年も新規対象者が発生しているような場合には注意が必要です。
結局のところ、「(1)扶養控除の改正」以外はそれほど影響がないと言えそうです。
日々成長