結局オリンパスは粉飾決算-金融商品の損失がのれんの減損に化けた!
最近1~2週間よくわからないこととしてTPPとオリンパスがありましたが、後者のオリンパスについては粉飾決算ということで決着しそうです。
会社が今日発表した内容によると、過去の企業買収で支払った多額の報酬や買収資金は、1990年代の証券投資の含み損で損失計上を回避するために使用されたのが実態とのことです。
どのような手口が使われたかについては今後明らかになると思いますが、結果的には「投資有価証券評価損」が時間をおいて「のれんの減損損失」に化けたということのようです。ただし、現在「のれん」として計上している金額にもさらに損失として計上しなければならない部分があるはずです。
粉飾目的ということであれば、証券会社出身のマイナーなFAを使用した理由も納得ができますし、買収後すぐに会社がなくなったということも納得いきます。さらに穿った見方をすれば、このFAは問題となった1990年代の運用に大きくかかわっていたのではないかと思いますし、損失の穴埋めが主な目的であったとしても、このFAが相当高額な見返りを得たのでしょう。
上場廃止になるかどうかはわかりませんが、個人的にはこのような悪質な粉飾を行った場合には一発退場にすべきではないかと思います。
オリンパスは、内視鏡では世界シェアの7割くらいのシェアを有しており、この分野を欲しがる会社はいくらでもあると思います。今日の終値で見た場合、時価総額が2000億円を下回ってきたので、巨大な海外の医療機器メーカであれば比較的容易に買収可能ではないかと思います。さらに株価が下がればさらに容易になります(もっとも現時点では簿外負債が怖いですが・・・)。
日本国内でいえば、富士フイルムがオリンパスを買っても面白いのではないかと思います。富士フイルムは医療関連分野へ進出しており、内視鏡の技術は戦略に合致しているように思いますし、デジカメも両社ともにぱっとしないですが、両社足せばパナソニックよりは上に行けそうなのでそれなりに価値はありそうです。ちなみに両社足しても、キヤノン、ソニー、ニコン、サムソンには及ばないようです。
結果的には粉飾ということが明らかになったわけですが、それ以前に法外な手数料を(のれんとして計上することではなく支払いを)認めるなんて会計士は何やっていたのかというような主張を耳にしましたがこれは、いわゆる期待ギャップというものだと思います。
「のれん」として計上すべきか費用処理すべきかは問題となりますが、FAに法外な報酬を支払ったからと言って、それが事実であればその行為自体は経営者の判断次第で、会計士がとやかく言うことではありません。むしろ、そのような牽制は取締役会あるいは監査役が一義的に担うべきものです。
当時はJSOXもありませんので、結果的には今回問題となっている損失の繰延べが通常実施すべき監査手続きの範疇で発見できないものであったかが問題となると考えられます。世間一般的に会計士に期待される役割を担おうとすると、マルサのような強制力を与える必要があるのではないだろうかと感じます。この際、監査人を公務員化し、それなりに権限を与えるというのも検討の余地がありそうです。
実際どのような手口が使用されたのか、誰がそもそもの損失を招いたのかを含めて第三者委員会の報告を待ちたいと思います。
日々成長