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貯蔵品の課税仕入れを行った日はいつか?-貯蔵品残高は税込?税抜?

今回は貯蔵品にかかる消費税の課税仕入れの時期についてです。

結論からすれば、基本的に購入時に仮払消費税をとってよいものと考えられますが、事務処理の便宜や理解のしやすさを考えると税込で計上したほうがよいものもあると思います。

1.課税仕入れの時期の原則

まず課税仕入れの時期の原則を確認しておくと、「『課税仕入れを行った日』とは、課税仕入れに該当することとされる資産の譲受け若しくは仮受をした日又は役務の提供を受けた日という」とされ、法人税又は所得税における収益又は総収入金額の認識基準と同じになります(消費税基本通達11-3-1)。

2.棚卸資産に係る仕入税額控除

上記1.のとおり、「課税仕入れを行った日」とは、資産の譲り受けた日を意味します。言い換えれば、資産の引き渡しを受けた日が「課税仕入れを行った日」となります。

したがって、棚卸資産について、その課税期間に販売しなかったため売上原価に算入しない部分についても、法人税、所得税の処理にかかわらず、その仕入れを行った日の属する課税期間において控除の対象となります

貯蔵品も棚卸資産の一種なので、取扱いは同じということになるはずですが、郵便切手や新幹線などの回数券などで、期末時点で未使用分を資産計上するために貯蔵品勘定が使用されることがあるので、このような場合も購入時に仮払消費税をとってよいのかが問題となります。

シンプルに考えると郵便切手や新幹線の回数券は役務の提供を目的とするものであると考えられるので、1.の原則からすれば役務の提供を受けた時に仮払消費税をとるべきと考えられます。つまり、期末は税込の金額で貯蔵品に計上すべきということになります。

このように考えるのがシンプルでよいと思いますが、これだと基本的に購入時に仮払消費税をとってよいということにはなりませんので、「物品切手等」について確認することにします。

3.物品切手等とは?

物品切手等とは、商品券その他名称のいかんを問わず、物品の給付請求権、役務の提供又は物品の貸し付けに係る請求権を表彰する証書をいいます。ただし、郵便切手類に該当するものを除きます(消費税法別表一④ハ、消令11)。

消費税法上、物品切手等は、商品代金等の支払いに用いるものであり、その譲渡は譲渡するものが誰であるかにかかわらず非課税とされます(消費税法別表一④ハ)。

物品切手等の例としては、商品券、ビール券(最近あまり見かけなくなりましたが・・・)、旅行券、プリペードカード、JR回数券、航空券などがあります。

注意していないと混乱するのですが、物品切手等の譲渡は非課税取引となりますが、その物品切手等と交換に商品の譲渡やサービスの提供が行われた時に課税されることになりますので、役務の提供等が完了すれば消費税をとることができることになります。

そして、前述の新幹線の回数券は物品切手等に該当しますので、使用時(乗車時)に仮払消費税を計上するのが原則となります。

ところが、消費税基本通達11-3-7では以下のような内容が定められています。

郵便切手類又は物品切手等は、購入時においては課税仕入れには該当せず、役務又は物品の引換給付を受けた時に当該引換給付を受けた事業者の課税仕入れとなるのである、郵便切手類又は物品切手等を購入した事業者が、当該購入した郵便切手類又は物品切手等のうち、自ら引換給付を受けるものにつき、継続して当該郵便切手類又は物品切手等の対価を支払った日の属する課税期間の課税仕入れとしている場合には、これを認める

つまり、自分で使うもので、継続して購入した時に仮払消費税をとっている場合にはそれでもよいということになります。したがって、冒頭の「基本的に購入時に仮払消費税をとってよい」ということになります。

4.郵便切手類について

最後に郵便切手類について触れておきます。3.の「物品切手等」は、定義で確認しましたが郵便切手は除かれています。消費税法上、郵便切手は別個に定められています。

消費税法上、郵便切手類、印紙、証紙の譲渡で郵便事業株式会社等が行うものの譲渡は非課税とされています(消費税法別表一④イロ、消費税基本通達6-4-1)。

ここがまた混乱するところですが、郵便切手類、印紙、証紙の譲渡が非課税となるのは譲渡者が郵便事業株式会社等ある場合に限られます。逆に言えば譲渡者が郵便事業株式会社等でない場合、例えば金券ショップである場合には課税取引となることになります。

なお、上記3.で述べて消費税基本通達11-3-7では、「郵便切手類又は物品切手等は」となっていますので、郵便切手類についても継続適用を条件に購入時に仮払消費税をとることが認められることになります。

よって、郵便切手類も基本的に購入時に仮払消費税をとってよいということになります。

以上、基本的に購入時に仮払消費税をとれるということですが、事務処理を考えると、切手や新幹線の回数券のような税込価格で考えるのが一般的なものは税込みで処理しておき、使用時に仮払消費税をとるほうが多くの人にとっては理解しやすいのではないかと思います。

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