「取締役会等の企業の意思決定機関において定められた結果に従う」の根拠は?-無対価吸収分割
100%子会社間で無対価吸収分割を実施した場合、吸収分割会社(=分割元)の会計処理については、企業結合適用指針203-2項(2)②によって、「吸収分割会社である子会社は、第255項に準じて会計処理を行い、株主資本の額を変動させる(第446項参照)」とされています。
そして、結局は233項に準じて処理を行うこととされ、そこで「変動させる株主資本の内訳は、取締役会等の会社の意思決定機関において定められた額(自己株式等会計適用指針第10項、株主資本の内訳の配分については第446項参照)とする」とされています。/p>
資本項目の会計処理については、「取締役会等の会社の意思決定機関において定められた額」を変動させればよいということは上記から明らかです。/p>
ところで、そもそも変動させる資本項目を取締役会等の会社の意思決定機関が決議しなければならないという根拠はどこにあるのでしょうか?
取締役会等の会社の意思決定機関で変動させる資本項目が定められていなかったら、それは手続き上瑕疵があるということなのか、決議がないこともありうるのか・・・/p>
調べていくと、会社計算規則38条2項、3項に以下のように定められていることが分かりました。/p>
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上記第3項により、会社法?第二編第五章第三節第二款の規定に従う必要があるということになります。
では、会社法?第二編第五章第三節第二款が何かですが、これは「資本金等の減少等」(447条以下)の定めです。
資本金、準備金を減少させる場合は、株主総会(または取締役会)の決議が必要とされています(447条、448条)。
剰余金のその他の処分についても、452条によって 株主総会の決議が必要とされていますし、剰余金の配当についても454条によって株主総会の決議が必要とされています。
したがって、会社法上吸収分割契約において定める事項(758条)に定められていなくても、株主総会等の決議が必要ということになると考えられます。
ところで、吸収分割が簡易組織再編に該当する場合(784条)にはどうなるのかですが、同条では簡易組織再編に該当しても吸収合併契約書等の承認を要しないとされているだけで、資本項目を変動させる場合の会社法の手続きについては触れられていないようです。
したがって、資本項目を変動させる場合には原則どおり総会決議等が必要なものと考えられます。
このように考えると、?吸収分割が簡易組織再編に該当したとしても結局総会決議等が必要となり、なんだか矛盾しているように思えます。そもそも100%子会社間であれば、総会決議といっても比較的容易にできますが、総会を開きたくないのであれば資本項目を動かさないように有対価でやればいいとうことでしょうか・・・
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