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消費税(その3)-個別対応方式の用途区分1

引き続き消費税改正に関連して消費税の内容を確認していきます。今回は個別対応方式の用途区分について確認していきます。

1.個別対応方式の用途区分の種類

すでに何度か書いていますが、個別対応方式の場合、課税入れ等を以下の三区分に分類する必要があります。

①課税売上げにのみ要するもの

②非課税売上げにのみ要するもの

③課税売上げと非課税売上げに共通して要するもの

2.用途区分の判定

今後、個別対応方式を採用する場合、用途区分の判定に頭を悩ます機会が増えると思いますので、用途区分を判断する上でのポイントをまとめておきます。

(1)用途区分は、さまざまな要素を勘案して判断する必要がある

これが一番面倒な点ではないかと思いますが、用途区分は勘定科目によって決まるものではなく、業種や対応する収入の内容、使用目的などを勘案の上判断しなければなりません。

例えば、課税売上となる商品の広告費であれば、課税売上げにのみ要するものに該当することになりますが、企業広告であれば、課税売上げと非課税売上げに共通して要するものに該当することになります。つまり、経理担当者からすれば、広告宣伝の内容を把握していないと適切な区分ができないことになってしまいます。

また、例えば、不動産賃貸の広告で居住用のみを目的とする場合は、非課税売上げにのみ要するものに該当してしまうことになると考えられます。

(2)用途区分の判断は「要したもの」ではなく「要するもの」かどうかで判断する

結果的にどうであったかではなく、今後「要する」予定かどうかにより区分が判断されます。つまり、当初の目的で用途区分を判断することになります。

したがって、販売目的で仕入れた商品が、結果として販売できずに廃棄されたとしても、当初の目的が課税売上を上げることであったのであれば、「課税売上げにのみ要するもの」と判断することになります。

(3)用途区分の判定は、その課税仕入れ等を行った日の状況によって行う(消費税基本通達11-2-20)

会計監査では、消費税の用途区分が妥当かまではあまり気にされないと思いますので、用途区分が問題となるのは、税務調査が入った時だと考えられます。

特に、課税仕入れ等を行った時とは異なる用途に供されたものについては、税務調査時には異なる用途に供されていることが明らかであるので、問題となることが考えられます。

したがって、結果的に当初の用途区分と異なる用途に転用したようなものがある場合には、課税仕入れ等を行った時点で、なぜその用途区分としたかを客観的に説明できるようにしておく必要があるといえます。

この点に関連する裁判例として、「経理担当者のための消費税「個別対応方式」適用ガイド(あいわ税理士法人)」において、建物を購入した目的が「居住用として賃貸するため」であったかどうかが争われた事件が紹介されていました。

この事件では、納税者が課税期間末日までにその使用目的が決まっていないとして、建物にかかる課税仕入れの税額を課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとして処理していたものが、以下の理由により否認されています。

①本件建物の主要用途については、建築基準法の規定に基づく「確認済証」等には「共同住宅」である旨の記載があること

②請求人が原処分庁に提出した届出書等にも「居住用」との記載があること

③本件建物の種類を「共同住宅」とする所有権保存登記を行っていること

④本件建物を居住用として入居者の募集を行っていること

⑤本件建物の賃貸契約書は、いずれも居住目的の使用に限定していること

⑥本件建物が住宅以外の用に供された事実は認められないこと

実際にオフィスとして賃貸している部分があれば、結論も変わったかもしれませんが、上記のように明らかに非課税売上のみに要するものを、用途区分が定まっていなかったから課税売上げと非課税売上げに共通して要するものだというのはやはり無理があるようです。

(4)社宅等の費用は従業員から負担金を徴収しているかどうかで用途区分が異なる

前提として、社宅、保養所、社員食堂等の施設を福利厚生目的で従業員に利用させる場合に、従業員から徴収する負担金は会社の売上に該当するとされています(消費税基本通達5-4-4)。

まず、負担金を徴収していない場合には、直接紐づく売上がないため、課税売上がある会社であれば、関連する課税仕入れは「課税売上げと非課税売上げに共通して要するもの」に該当することになると考えられます。

一方で、負担金を徴収している場合は、直接紐づく売上があるため、その売上の内容に応じて用途区分が判断されることになります。

つまり、社宅であれば従業員から徴収する負担金は非課税売上になるので、「非課税売上のみに要するもの」になり、社員食堂や保養所等であれば徴収する負担金は課税売上になるので「課税売上のみに要するもの」に区分されることになります。

社宅の場合は、仮払消費税が計上されていないはずなので用途区分の影響はほとんどないように思いますが、会計処理として社宅の従業員負担金を費用のマイナスとして処理しているような場合には非課税売上が計上されないこととなり、課税売上割合の算定を誤る可能性があるので注意が必要だと思います。

(5)個々の課税仕入れ等について用途区分を判断する必要がある

消費税基本通達11-2-18において以下のように定められています。

個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合には、その課税期間中において行った個々の課税仕入れ等について、必ず、課税資産の譲渡等にのみ要するもの、その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものとに区分しなければならない。したがって、例えば、課税仕入れ等の中から課税資産の譲渡等にのみ要するものを抽出し、それ以外のものを全て課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして区分することは認められないのであるから留意する。

ただし、会計システムを利用していれば、消費税のコードを入力する必要があると思いますのでそれほど問題となることはないのではないかと思います。

むしろ、例えばバルクで複数の資産を購入したような場合に「個々の課税仕入れ等」をどのように考えるのかが問題となると考えられます。

いずれも課税売上のみに要するものであれば特に問題はありませんが、非課税売上のみに要するものや共通して要するものが含まれている場合に、共通して発生する付随費用などの区分をどう判定するかが問題となります。

会計的には、付随費用を取得原価等を基準として各資産に配分して、各資産の用途に応じて用途区分を決定することに合理性があると考えられますが、用途区分の判定としては全体で一つの取引と考えて判定しなければならないこともありえます。

今後は、バルクでの購入にかかる付随費用についても個々の資産単位で把握可能なように請求してもらうというような対応も検討する必要があるように思います。

長くなりましたので、今回はここまでとします。

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