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償却原価法とその他有価証券

今回は償却原価法について確認します。

償却原価法とは、「金融資産又は金融負債を債権額または債務額と異なる金額で計上した場合において、当該差額に相当する金額を弁済期又は償還期に至るまで毎期一定の方法で取得原価に加減する方法」(金融商品に関する会計基準 注5)のことです。

金融商品に関する会計基準16項では、以下のように規定されています。

満期まで所有する意図をもって保有する社債その他の債券(以下「満期保有目的の債券」という。)は、取得原価をもって貸借対照表価額とする。ただし、債券を債券金額より低い価額又は高い価額で取得した場合において、取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められるときは、償却原価法に基づいて算定された価額をもって貸借対照表価額としなければならない

ここで、うっかりしていると間違ってしまうのが、その他有価証券に分類された時価のある債券の取扱いですつまり、満期保有目的債権は、時価評価不要だから償却原価法が必要と考えてしまうと、その他有価証券に分類された債券は時価評価されるので、償却原価法が不要と思いこんでしまいます。

しかしながら、実際には、その他有価証券に分類された時価のある債券であっても、償却原価法の検討対象とする必要があります

この点について、金融商品に関する実務指針74項では、以下のように定められています。

その他有価証券のうち、取得差額が金利調整差額と認められる債券にまず償却原価法を適用し、取得原価と償却原価との差額を有価証券利息の修正として処理する。その上で、時価のある債券については、償却原価と時価との差額を評価差額として処理する。

なぜ、その他有価証券に分類された債券についても償却原価法を適用するかについては、実務指針の276項において、「利息の合理的な期間配分を目的として償却原価法を適用して有価証券利息の修正を行うこととした」とされています。

したがって、その他有価証券に分類された債券であっても償却原価法の適用対象となりうるわけですが、もう一点考慮すべきポイントがあります。

それは、「取得価額と債券金額との差額の性格が金利の調整と認められる」かどうかです。

実務指針70項では、「取得価額と債券金額との差額(以下「取得差額」という。)が発生する要因には、クーポンレートと取得時の市場利子率との調整に基づくものと債券の発行体の信用力の変動や減損及びその他の要因があるが、償却原価法の対象となるのは、取得差額が金利の調整部分(以下「金利調整差額」という。)により生じた場合に限定される」とされています。

その上で、同274項において「なお、満期保有目的の債券は、当該保有目的区分へ分類するための要件から、信用リスクの高くない債券が対象となるため、一般に、取得差額は金利調整差額のみから構成されるものとみなすことができる」と満期保有目的の債券については取得差額を全額金利の調整とみなしてよいとされています。

では、その他有価証券はどうなるの?ということですが、274項では「発行後に発行体の信用力の重要な低下により市場価格が下落した債券を購入した場合には、取得差額は金利調整差額以外の部分から構成されることになる」とされています。

したがって、債券の実質利回りが市場金利を大きく上回るような場合には、一般的に発行会社の信用リスクを反映していると考えられるので、償却原価法の適用はないと考えられます。

満期保有目的債券が「信用リスクの高くない債券が対象となる」とされていることを逆から考えると、満期保有目的債券の適格要件を満たさない債券については少なくとも「信用リスクが高い」と判断していることとなると考えられます。

したがって、会社が満期保有目的債券の適格要件として格付けを利用している場合には、少なくとも、その格付けを下回る銘柄については償却原価法の適用はないと考えるのが妥当ではないかと思います

この他、期間を同じくする他の債券の利回りと比較するという方法も考えられますが、この場合、昨今の超低金利の状況、および社債を発行する会社は基本的に信用力が高い会社であるということからすると、対象会社の債券の利回りが他の債券の利回りと1%違えば、金利調整以外の何かが見込まれていると考えたほうがよい水準のような気がします。

なお、税務上は額面と取得価額の差額については、その性質を考慮することなく償却原価法によることになるようです。したがって、仮に取得差額が生じている債券について会計上償却原価法を適用しない場合には、税務上は償却原価法を適用した場合の税務調整が必要となると考えられます。

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