「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違いは?
本屋でたまたま「国税記者 実録マルサの世界」という本を見かけ、「巨額脱税事件をスクープせよ」という帯に興味を魅かれて購入しました。
国税担当の記者として遭遇した事件のいくつかを紹介しているものですが、気分転換にすこしずつ読もうと思って読み始めました。
その本の最初の方に報道で使われる「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」の違いについて書かれていました。
あたらめて聞かれると、たしかに上記三つはみたことがある(あるいは聞き覚えがある)表現です。
あまり意識したことはありませんでしたが、「申告漏れ」は悪意がない間違いというイメージ、「所得隠し」と「脱税」はどちらも悪意があるようなケースが連想され、表現的には「脱税」のほうが強いというイメージをもっていました。
しかしながら、同書による解説によると「申告漏れ」「所得隠し」「脱税」は以下のように使い分けられているとのことです。
「申告漏れ」
「増差所得」のことであり、「この言葉のニュアンスの中には意図的な税逃れも、単なる経理処理上のミスも両方含まれている」とのことです。「脱税の疑いで・・・」というような報道がなされるイメージがあるので、「申告漏れ」というとあまり悪質なものではないというイメージをもっていましたが、「意図的な税逃れ」も含まれるとのことであり、認識を改めました。
「所得隠し」
報道で「所得隠し」と呼ばれるのは、「申告漏れ」のうち「重加算税が課せられる部分」だそうです。重加算税が加算されるくらいなので、相当悪質なものということになります。
「脱税」
報道で「脱税」という言葉が使われるのは、「査察部が地検に告発した事案に限定される。」そうで、「査察部が取り扱う事案は所得隠しの金額が1億円を超えるもの」とのことです。
「所得隠し」も相当悪質ではありますが、悪質かつ巨額になると「脱税」という報道がなされるということのようです。
いままで、ほとんど意識していませんでしたが、これからは報道の表現にも注意してみようと思います。
日々成長。