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「包括利益の表示に関する会計基準」の改正-振当処理に係る組替調整額は注記不要

2012年6月29日にASBJから改正「包括利益の表示に関する会計基準」が公表されました。

一番大きな改正点は、個別財務諸表への包括利益の表示の適用を当面見送るという結論になったため、個別財務諸表への適用に関する規定が削除されている点だと思います。
改正前は、この基準適用後1年をめどに個別財務諸表へ包括利益の表示を適用するかを判断するとされていましたが、結局見送られたということになります。

もう一つ地味な改正ですが、「その他の包括利益の内訳の開示」の部分で振当処理を採用している場合の組替調整額について以下のように規定が追加されています。

改正「包括利益の表示に関する会計基準」第31項(2)
「なお、為替予約の振当処理は、実務に対する配慮から認められてきた特例的な処理であることを勘案し、組替調整額及びこれに準じた開示は必要ないと考えられる。」

変わっていることを見逃してしまいそうな短い文章の追加ですが、実務上の混乱を解消するためには重要な改定といえます。
というのは、改正前の規定では、「組替調整額は、当期及び過去の期間にその他の包括利益に含まれていた項目が当期純利益に含められた金額に基づいて計算されるが、具体的には次のようになると考えられる」として、その項目の一つとして繰延ヘッジ損益の取扱いが以下のように示されていました。
「繰延ヘッジ損益に関する組替調整額は、ヘッジ対象に係る損益が認識されたこと等に伴って当期純利益に含められた金額による。なお、ヘッジ対象とされた予定取引で購入した資産の取得価額に加減された金額は、組替調整額に準じて開示することが適当と考えられる。」(31項)

外貨建予定取引をヘッジ対象とする為替予約等の振当処理の場合、予定取引が行われるまでは、決算日において為替予約等を時価評価し、評価差額を「繰延ヘッジ損益」として繰り延べることになります。

したがって、上記の規定に照らして考えると、振当処理の場合、「予定取引で購入した資産の取得価額に加減された金額」が生じ、この金額を集計開示しなければならないということになります。

ところが、そもそも振当処理が実務上の処理の煩雑さを軽減するために当面の間認められている例外的な処理であるにもかかわらず、組替調整額の注記だけ厳密にやる必要があるのか?という疑問が生じます。
このような疑問はあるものの、基準で書いてあることからすれば振当処理であっても組替調整額を注記対象とすべきといわれてしまえば、それに反論するのも難しく3月決算ではもめた会社もあったのではないかと思います。

今回の改正で「替予約の振当処理は、実務に対する配慮から認められてきた特例的な処理であることを勘案し、組替調整額及びこれに準じた開示は必要ないと考えられる」と明示されたことにより、上記のような混乱が避けられるようになります(すでに関係が悪化していたりすると意味がありませんが・・・)

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