「21世紀のキャリア論」-高橋俊介著
以前とある番組で著者がそのうち本にまとめると言っていた「21世紀のキャリア論」を購入しました。自分のキャリアをどう形成していくべきかについて参考になる部分も多い内容となっています。
著者は21世紀のキャリア環境の特徴として以下の二点が同時進行する点をあげています。
・想定外変化によって生じる予期せぬキャリアチェンジ
・専門性の細分化深化
想定外の変化が多くても、専門性がそれほど必要でない場合はスーパー・ジェネラリストを目指せばよいですが、専門性が要求されるとなるとそうはいきません。また、専門性が要求されるとしても、変化が激しくなければ特定の分野の専門性を時間をかけて高めていくことができますが、変化が激しいと専門性を高めている途中でその専門性が役に立たないという事態に陥ってしまいます。
想定外の変化が多くなった理由については、日本経済がもう成長しないためとしています。そのため、国内事業のリストラや、グローバル化に対応した要求人材の変化が起こりやすくなっているとしています。
一方で、専門性の細分化・深化がおきているとし、その例として、金融庁の証券取引等監視委員会が挙げられています。すなわち、ここでは、会計士、IT・インターネットセキュリティの専門家を中途で多く採用しており、これは、そのような深い専門性がないと、今の金融業界の違反や犯罪に対応できないからだと説明されています。
そして、このような状況下においては、全体を見渡せる人材が育たないという問題が生じ、どのように人材を育成するのかが課題になるとしています。なお、従来型のジョブローテーションについては、昔とは求められる専門性のレベルが異なるので、昔のように頻繁なジョブローテーションをすれば、何の専門性もないジェネラリストを養成することになり、現在の経営環境を乗り越えるのは難しいとされています。
それでは個人はどうすればよいのかですが、この点については、「キャリア自律」が求められているとしています。自分でキャリアを切り開くために重要なポイントとしては以下の三つが挙げられています。
①目標より習慣
これは、長期的具体的な目標を先に決めてキャリアを作り込む設計逆算型ではなく、大体の方向性のみを決めて、ただしと思うことをその都度やり続けることとしています。
②普遍性の高い学び
想定外変化の時代には、途中で想定外変化が起きて、それまでの仕事とは一見無関係な仕事に就かざるを得ないようなことが起こります。このような場合に備えて、普段から普遍性の高い能力を蓄積していく必要があります。
より具体的には、一つの専門性を深堀りして学ぶ際に、原理原則、基礎理論、歴史的背景にまで戻って、腹落ちするまで学ぶことが重要とされています。
③明確な仕事観
想定外変化に振り回されるのでなく、主体的に地震の役割や仕事、なすべきことを再定義していくために「仕事観」という普遍性の高い価値観を持つことが重要としています。
なお、仕事観は以下の三つに大別されます。
・内因的仕事観・・・仕事はやりがいなどの心理的な報酬が得られるものという見方
・功利的仕事観・・・金銭や地位のために仕事をするという見方
・規範的仕事観・・・仕事は人のためにするものという見方
あまり年を取りすぎる前に、自分のキャリア観というものを考えてみるのも重要だと思います。
日々成長