中小企業金融円滑化法の終焉に向けて銀行側も動きだしているようです
2週間くらい前ですが、帝国データバンクから2012年の7月における中小企業円滑化法利用後の倒産が41件と過去最高となったという発表があり、これに関連して報道もなされました。
中小企業円滑化法を利用後に倒産すること自体は特に不自然ではありません。というより、むしろ苦しい会社が利用する制度であると考えれば、ある程度の倒産が発生する方が自然です。そう考えると、過去最高という単月で41件という件数をどう解釈すべきなのかが問題となります。
まず、帝国データバンクから発表されているデータを元に制度利用後の倒産件数の推移をまとめると以下のようになっています。
6月の反動ということも多少あるのではないかという気もしますが、過去2番目に件数が多い2012年1月と比較しても9件多くなっており、過去の推移からすると異常値であり、ここを起点に傾向がかわる可能性があります。
少し前のデータになりますが、中小企業金融円滑化法の利用状況については、”中小企業金融円滑法の適用期限が再延長されました-「最後の」延長だそうです”というエントリで記載しましたが、貸付条件が変更された貸付金の金額は2011年9月末時点で約65兆円となっており、地域銀行がかなりの割合を占めていいます。
さらに上記の大部分は中小企業者に対するものですから、現時点では、このなかのほんの一部が倒産したという程度ではないかと思います。累計での倒産件数は400件程度ですから、仮に1社10億円としても利用額の1%にもなっていない水準です。
中小企業金融円滑化法の再延長が決まった1月の状況と比較しても、特に状況が好転しているとは考えられませんので、再度延長せざるを得なかった状況に変化があるとは考えられません。
したがって、このまま予定通り終了すると大変な状況になるので、最後の延長のはずがさらに延長されるのでは?ということになりますが、さすがにそれはないと思います。特に、民主党が政権を失う公算が高い状況では、その後の政権は民主党がやったこととして制度を終結させることができます。仮に、次の政権が自民党であれば民主党にとどめを刺すためにも制度を終了させるのではないかと思います。
個人的には、失われた10年→20年という状況の日本では、待てば景気が良くなるという状況ではないので、単なる延命措置はあまり意味がないと思うので制度を終了させることには賛成です。
銀行も、中小企業金融円滑化法が終了されれば、本来引当が必要な貸付金に対して引当が必要となるので、徐々に処理を進めなければ自分の身が危ないということになります。前述のとおり、この制度の利用者に貸し付けている金融機関は地域銀行がかなりの割合を占めていますので、今後地方の経済の冷え込みが激しくなっていくのではないかと思います。
個人も今後の景気悪化に身構えておく必要があるのではないかと思います。
日々成長