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「税効果会計に関するQ&A」が改正されました-退職給付に関する会計基準に対応

2013年2月7日に日本公認会計士協会から”税効果会計に関するQ&A”の改正が公表されました。

今回の改正は、昨年5月に公表された「退職給付に関する会計基準」(企業会計基準第26号)に対応したものです。

企業会計基準第26号は、原則として、平成25年4月1日以後開始する事業年度の年度末に係る財務諸表から適用開始となります。(平成25年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用することも認められる)。

この基準の一番のポイントは、連結財務諸表上、従来の遅延認識項目について即時認識する必要があるという点です。すなわち、数理計算上の差異、過去勤務差異について以下のように定められています。

(数理計算上の差異)

当期に発生した未認識数理計算上の差異は税効果を調整の上、その他の包括利益を通じて純資え産の部に計上する(24項一部抜粋)

(過去勤務債務)

当期に発生した未認識過去勤務費用は税効果を調整の上、その他の包括利益を通じて純資産の部に計上する(25項一部抜粋)

上記の未認識項目の即時認識は連結財務諸表でのみ行われるため、個別財務諸表と取扱いが異なることとなることになります。また、未認識項目の金額によっては多額の繰延税金資産が発生し、繰延税金資産の回収可能性を考える際の会社区分をどのように考えるべきかも問題となります。このため連結財務諸表・個別財務諸表それぞれで税効果をどのように考えるかについて、今回の税効果会計に関するQ&Aで明らかにされました。

主な改正内容は以下の通りです。

(1) 未認識項目を連結貸借対照表上で負債(又は資産)として即時認識しても、連結財務諸表における会社分類は、個別財務諸表における会社分類と変わらない。

(2) 未認識項目を連結貸借対照表上で負債として即時認識した場合において生じる将来減算一時差異についても、将来解消年度が長期にわたる将来減算一時差異に当てはまる。

(3) 会社分類が変更となり、連結財務諸表上、退職給付に係る負債に係る繰延税金資産の回収可能性を見直す際には、連結損益計算書や連結包括利益計算書で調整する。

改正本文の中で、上記(1)について、以下のような例が挙げられています。

例えば、監査委員会報告第66号5(1)の会社分類(例示区分)が①(期末における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上している会社等)である場合において、個別財務諸表における将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上していますが、連結修正(未認識項目の負債認識)において生じる将来減算一時差異を考慮すると、将来減算一時差異を十分に上回る課税所得を毎期計上していないことになる場合も考えられます。この場合においても、連結財務諸表における会社分類(例示区分)は個別財務諸表における会社分類(例示区分)と同じ①とし、連結手続上生じた繰延税金資産の全額について、その回収可能性があると判断されるものと考えられます。

また、上記(3)については、個別財務諸表で計上されている繰延税金資産の変動については法人税等調整額を相手勘定として調整し、連結財務諸表でのみ認識されている繰延税金資産の変動については退職給付に係る調整額を相手勘定として処理を行うということを意味します。

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