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資産除去債務の簡便法(敷金償却)で見積もりを変更した場合の処理等

今回は、賃借建物に係る原状回復費用に対する資産除去債務の簡便法(敷金償却)についてです。

1.将来見積額の割引の要否

簡便法で資産除去債務を処理している場合、将来見込まれる支出額を割引計算する必要はないと覚えていましたが、「どこに書いてあるのか?」という質問を受けたので、基準をあらためて確認してみました。

そもそも、簡便法は「資産除去債務に関する会計基準」で規定されてはおらず、「資産除去債務に関する会計基準の適用指針」の第9項で以下のように規定されています。

(建物等賃借契約に関連して敷金を支出している場合)
9. 建物等の賃借契約において、当該賃借建物等に係る有形固定資産(内部造作等)の除去などの原状回復が契約で要求されていることから、当該有形固定資産に関連する資産除去債務を計上しなければならない場合がある。この場合において、当該賃借契約に関連する敷金が資産計上されているときは、当該計上額に関連する部分について、当該資産除去債務の負債計上及びこれに対応する除去費用の資産計上に代えて、当該敷金の回収が最終的に見込めないと認められる金額を合理的に見積り、そのうち当期の負担に属する金額を費用に計上する方法によることができる。

ここでは、特に割引の要否は述べられていません。しかしながら、「資産除去債務の実務」(新日本有限責任監査法人)では、「容認処理は、実務上の負荷を考慮して設けられた簡便的な取扱いであり、費用に計上する金額については、割引現在価値の計算は不要と考えられる。」と述べられています。また、「資産除去債務の会計処理に係る実務上の留意事項」(トーマツリサーチセンター 会計情報No.406)でも同様に述べられており、割引が不要という点に意見の相違はありません。

上記の第9項以外に割引の要否を明確に述べている条項は見当たりませんが、適用指針の設例6が割引不要の根拠になると考えられます。
設例6では、敷金のうち500が原状回復費に充てられるため返還が見込まれないと見込まれるため5年で費用配分を行うという前提になっています。そして、この設例では、期間を5年としつつも、返還不能額500を割引くことなく、単純に毎期100の費用(敷金の償却)を行うというという会計処理が示されており、このことから簡便法の場合、割引を行うことは想定されていないと考えられます。

2.将来見積額が変更された場合の処理

簡便法を用いて処理を行っている途中で、将来の見積額が変更されるケースがあります。例えば、同じビル内で賃借していた複数の区画のうちの一つから退去した結果、当初の見積額と実績の乖離が明らかになったので、残存する区画の見積額を見直すということがあり得ます。

将来見積額が変更された場合の処理について、簡便法だけ特別な処理が規定されてはいません。したがって、見積額の変更による影響を残存期間で吸収する(費用配分を行う)ことになると考えられます(適用指針50項参照)。

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