IFRSの任意適用要件が緩和の方向へ
2013年4月23日に開催された企業会計審議会総会・企画調整部会号棟会議においてIFRS対応の当面の課題について検討が行われました。同会議では任意適用要件を緩和する方向で議論が進んでおり、反対意見はなかったとのことです(T&A Master 497号)。
日本経団連の調査では、任意適用を検討している会社は約60社で、これらの会社の時価総額は合計で75兆円に及び、時価総額上位50社の約4割が既にIFRSの適用を公表あるいは任意適用を検討しているとされています。このような状況を受けて、さらにIFRSの任意適用を増やしていくためには任意適用の要件を緩和する必要があると判断したとのことです。
そもそも現在のIFRSの任意適用要件は以下のようになっています。
以下のの要件のすべてを満たすこと。
- 発行する株式が、金融商品取引所に上場されていること
- 有価証券報告書において、連結財務諸表の適正性を確保するための特段の取組みに係る記載を行っていること
- 指定国際会計基準に関する十分な知識を有する役員または使用人を置いており、指定国際会計基準に基づいて連結財務諸表を適正に作成することができる体制を整備していること
以下のいずれかを満たすこと
- 外国の法令に基づき、法令の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示していること
- 外国金融商品市場の規則に基づき、規則の定める期間ごとに国際会計基準に従って作成した企業内容等に関する開示書類を開示していること
- 外国に資本金20 億円以上の子会社を有していること
海外市場で上場していない場合には、IFRSを任意適用する場合には上記下の要件のうち「外国に資本金20 億円以上の子会社を有していること」という要件を満たす必要があります。任意適用にはこの要件がネックになっているとのことで、この要件を撤廃する方向で議論が進んでいるとのことです。この他、現在は上場企業であることが任意適用の要件となっていますが、この要件も撤廃し上場準備企業であっても任意適用できる道を開く方向で議論が進んでいるとのことです。
一方で、面白いのは単体開示の在り方です。証券アナリストからは比較可能性の観点から慎重な対応が必要との意見はあるものの、廃止または簡素化すべきとの意見が多数をしめているとのことです。連結財務諸表を作成している会社にとって単体の開示は確かに面倒です。一番悲惨なのは子会社1、2社で連結財務諸表を作成している会社です。連結でも単体でもそれほど大きな違いがないにもかかわらず、作成の手間は相当かかります。
連結か単体かいずれかのみ作成すればよいという日がやってくることを期待します。
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