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「定額残業代」の支給は「手当方式」と「組み込み方式」のいずれを採用すべきか?(その1)

時間外労働に対して定額残業代を採用している場合に、支払い方としては「手当方式」と「組み込み方式」が考えられますが、どちらを採用すべきか?というのが今回のテーマです。

この点に関して、ビジネスガイドの2013年5月号で弁護士の向井蘭氏と岸田鑑彦氏が”「定額残業代」の運用をめぐる最高裁判決を踏まえた企業の対応”という記事を書いてました。

結論からすれば、「導入するのであれば、手当方式の方が裁判所では認められる可能性が高く、安全です。」とのことです。

1.定額残業代とは?

全く馴染みがない方もいるかもしれませんので、「定額残業代」とは何かから一応説明しておきます。「定額残業代」というのは労働基準法37条で定める計算方法による割増賃金を支払う代わりに、定額の手当等の形式で支払われる一定の金額のことを意味します。「定額残業代」というのは労働基準法で定められている制度ではなく、一般的に上記のようなものが「定額残業代」と呼ばれているというものにすぎません。

「定額残業代」を導入する使用者側の目的としては、人件費をある程度固定化しつつ、労働者に効率的な作業を促すということにあります。つまり、例えば月30時間分の残業代が定額残業代として支給される場合、労働者としては月30時間の残業を下回れば下回っただけ労働しないで残業分を得られることになるので、極力残業しないように効率的に作業を行うようになることが期待できるということです。

なお、「定額残業代」というのは、どれだけ残業したとしても残業代が固定化されるという制度ではありません。上記の例でいえば、仮に実際の残業時間が40時間であれば、定額残業代に含まれる時間を超過する10時間分については別途残業代を支払う必要があります。
ところが、現実の運用としては「定額残業代」のもとに、実際の時間外労働時間がどれだけ多くなろうとも追加で残業代が支給されないということがあり、問題となっています。

2.定額残業代の主な支給方法

「定額残業代」の主な支給方法には、「手当方式」と「組み込み方式」があります。

①手当方式
手当方式とは、特定の手当を定額残業代とするものです。
②組み込み方式
組み込み方式とは、基本給などに定額残業代が含まれているとするものです。

さらに①手当方式、②組み込み方式にはそれぞれ、(A)「労働時間表示方式」と(B)「金額表示方式」があります。したがって、実際の制度としては、①・②および(A)・(B)の組み合わせで、主な制度として四通りの制度が考えられます。

手当方式は、「就業規則や雇用契約書にその旨の定めがあれば、裁判所においても定額残業代として認められる可能性が高い」と考えられるもので、「毎月「手当」という形式で給与明細に表示されるので、自然と従業員も手当の性格などを意識するようになり、問題になりにくい」方式です。

一方で、「組み込み方式は、手当方式に比べて問題が多く、労働時間表示方式は裁判所で否定されることが多いと言えます。本来、労働時間数と給与額はわかるので逆算すれば時給は計算できるはずですが、筆者の経験した範囲では裁判所はころを認めませんでした。」とのことです。
私の経験からすると、労基署が調査に入った場合も同じような指導がなされると思います。就業規則をみれば基本給に含まれる残業代相当額を各自が計算できると主張しても、給与明細に残業代相当の金額を明示するように指導されることが多いように思います。

今回はここまでにして、次回は「定額残業代」を巡る裁判例を確認することにします。

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