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粉飾決算に対する税理士の責任は?

粉飾決算の責任というと会計士の責任が思い浮かびますが、今回は関与先の粉飾決算について会計士ではなく税理士の責任が争われた裁判があったので紹介します(T&A master No.499)。

この税理士の関与先企業では、金融機関から融資を受けることなどを目的とた粉飾決算が9期に渡り行われており、これにより法人税約6,500万円が過大に納付されていました。

この粉飾決算について、税理士が不正経理を是正せずに税務申告手続きをしたことが、関与先企業と税理士との間で締結されていた業務委任契約に基づく善管注意義務違反にあたるかが争われました。

東京地裁は、当該委任契約には、原資資料からの仕訳は関与先企業が行うものとの合意が成立していたと認定したうえで、税理士には仕訳データの基になった個別の取引の実在性、個別の資産や負債の実在性等を原資資料にあたって精査すべき義務はなかったと判断し、税理士側が勝訴しました。

本件裁判において、企業側は粉飾決算の一つとして行われていた「入金仮装(郵貯残高を2,000万円多く計上)による売上の水増し」について、税理士は帳簿の記帳と郵貯通帳残高との間に齟齬があったにも関わらず、これを修正するよう適切な助言や指導を行わなかったことが善管注意義務違反だと主張していましたが、裁判所は、税理士に個別の売上の実在性や郵貯残高を原資資料にあたって精査すべき義務はなく、決算期に経理担当者に残高の正確性を確認しているのであるから、顧問税理士がその異常さを認識できなかったとしてもやむを得ないと指摘しました。

なお、本件については引き続き東京高裁で係争中です。

T&A masterの記事からこれ以上のことはわかりませんが、気になるのは、いったい報酬はいくらもらっていたのかということと、この税理士は会社が粉飾決算していることを知らなかったのか、あるいは気づいて見ぬふりをしていたのか、そしてどのような経緯で訴訟に発展したのかです。

一般的に会社に信用されている税理士であれば、金融機関対策としての粉飾についても何らかの相談を受けたのではないかと推測されますし、そこまでの信頼関係があれば、後でこのような訴訟に発展することもなかったのではないかと思います。
しかしながら、当初はよい関係を築いていたものの、会社側の体制変更などにより関係が崩れたということも十分に考えらえます。

また、実際の作業内容は契約に従うものであるとしても、決算作業の報酬が5万円なのか100万円なのかによっても、世間一般的に期待される役割は異なると思います。

会計士が財務諸表監査を行う上で、銀行残高確認状を発送しないことはまずありませんが、税理士の申告業務において最低限行なうべき手続きというものはあるのだろうか・・・

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