労働保険料の年度更新-「支払いが確定した賃金」の意味は?
今年も労働保険の更新時期になりました。特に大きな改正点等はありませんが、申告書の様式が変更され以下の赤線部分に「充当意思」欄が新たに設置されました。
念のため「充当」について確認しておくと、確定保険料額が申告済概算保険料額を下回る場合(すなわち前払が大きい場合)に、次年度の概算保険料や一般拠出金の納付分に保険料を回すことを意味します。
なお、上記の記載例では「1」が入力されていますが、これは「労働保険料のみに充当する場合」の記載値で、充当の方法は以下の三つから選択可能となっています。
- 労働保険料のみに充当する場合
- 一般拠出金のみに充当する場合
- 労働保険料及び一般拠出金に充当する場合
従来、一般拠出金へ充当する場合は、一般拠出金への充当により実際に還付される金額がなくても「還付請求書」を作成する必要がありましたが、今回の改正により申告書に番号を記入するだけで一般拠出金への充当も可能になりました。
さて、本題の労働保険の申告で集計する賃金総額の範囲についてですが、今回はどの期間の賃金を集計すべきかについての確認です。
平成25年労働保険年度更新申告書の書き方では、「保険料算定期間中(平成24年4月1日~平成25年3月31日)に支払いが確定した賃金は、算定期間中に支払われなくても算入されます。」(P6)、あるいは「平成24年4月1日から平成25年3月31日までに使用したすべての労働者に支払われる賃金(支払義務が具体的に確定したものを含みます。)の総額を・・・」(P8)と記載されています。
従って、当月末締め翌月10日払いというようなケースでは4月10日に支払われる給料も保険料算定期間中の賃金として集計しなければならないということは明らかです。つまり、基本的な考え方としては会計的な発生ベースで賃金総額を集計するということになります。
ここまでは、特に迷うこともないと思いますが、問題は20日締め月末払いというようなケースで21日~31日分はどうするの?という点です。21日~31日分の給料を会計上未払計上している場合に、この金額は賃金総額に含めなければならないのかです。
21日~31日分は既に労働の提供は受けていることから、会社からしてみるとその分の給料を支払う義務は既に発生しており「支払が確定した」のではないかと考えられますが、結論からすると締日をもって支払が確定したと判断するのが一般的なようです。
つまり、上記のケースでは21日から31日分は来年の年度更新時の賃金総額に含まれるということになります。
「支払義務が具体的に確定した」という若干回りくどい表現で「締日」で確定したものを意図しているのかもしれませんが、もう少し明確に説明してくれてもいいのかなという気はします。
少なくとも当月締めの翌月払いの給料の集計が漏れないようには注意しましょう。