外貨建有価証券が有償減資された場合の会計処理
今回はその他有価証券に分類していた外貨建有価証券について有償減資を受けた場合の会計処理についてです。
簡単な例で考えてみます。なお、当該有価証券は時価を把握するのが極めて困難なものに該当するものとし、税効果は便宜上無視します。
1.取得時(X1年4月1日)
外貨建取得価額1,000$、取得の為替レート1$=100円
取得時の仕訳は以下のようになります。
借)投資有価証券 100,000 貸)現金預金 100,000
2.決算時(X2年3月31日)
決算日の為替レート 1$=110円
時価のない外貨建その他有価証券は、取得原価または償却原価法に基づいて算定した償却原価を決算時のレートで換算して円建の金額を算出することとされており(外貨建取引実務指針15項)、換算により生じた差額は「その他有価証券評価差額金」として取り扱われます。
したがって、決算時の仕訳は以下のようになります。
借)投資有価証券 10,000 貸)その他有価証券評価差額金 10,000
3.有償減資時(X2年9月30日)
X2年9月30日に外貨建取得価額100$の有償減資を受け、9月30日の為替レートは1$=115円であったものとします。
この場合、有償減資により回収される円貨は11,500円(100$×115円)ですが、当初取得価額相当額は10,000円(100$×100円)で、両者の差額1,500円はどうするのかが問題となります。
考え方としては、以下の二つが考えられます。
- 1,500円は為替の変動によるものであるので為替差損益として処理する。
- 実際に回収した金額を全額取得価額から減額する。
どう処理しなければならないとは基準等に明確には書かれていませんが、差額は為替の変動による影響額であることが明らかであることから為替差損益として処理する方が妥当だと考えられます。また、決算時の換算差額がその他有価証券評価差額金で処理されることからすれば、投資有価証券の消滅に伴い対応するその他有価証券評価差額金部分はPLにヒットさせるのが自然だと考えられます。
したがって、上記の例では仕訳は以下のようになると考えられます。
借)現金預金 11,500 貸)投資有価証券 10,000
為替差益 1,500
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