金融円滑化法利用後倒産が大きく減少-帝国データバンク調べ
2013年9月9日に公表した「全国企業倒産集計2013年8月月報」によると「金融円滑化法利用後倒産」は 31 件で、初めて前年同月を下回り今年最少となりました。
過去の推移をまとめると以下のようになっています。
前月までのトレンドからすると8月の件数は特徴的な変化です。これを景気がよくなっていると解釈すれば、政府の消費税増税には追い風ですが、この点に関して帝国データの月報では以下のように述べられています。
公共工事増加や、消費税率引き上げ観測による引き上げ前の駆け込み需要が発生している以外は、原燃料高や労務費高、熾烈な価格競争など、多くの中小企業を取り巻く環境は変化しておらず、反動増を警戒しなければならない。また、自民党の日本経済再生本部の提言にも明記してある“地域金融機関の再編”が、今後本格的に始まる可能性があることは見逃せない。金融機関の再編は貸出先の精査を伴うものであり、業界の構造的問題を抱える企業、過剰債務状態から脱却できない企業など、業況改善が進んでいない企業は、整理の対象となることが想定される。
(出典:「全国企業倒産集計2013年8月月報」14ページ 帝国データバンク)
嵐の前の静けさという可能性があり、楽観視はできないという見解のようです。
8月の月報にはもう一つ興味深いことが記載されていました。それは、「大型倒産では、粉飾決算発覚企業が目立つ 」というものです。
これは、(株)アクロス(繊維強化炭素複合材製造、負債総額70億円)が、循環取引や融通手形などが疑われる行為があり決算内容が実態と大きく乖離していたことや(株)KN(牛乳製造、負債総額 29 億 1000 万円)は、2009 年に過年度の不適切な会計処理が表面化し経営実態が大幅な債務超過であることが発覚したことなどをうけたものです。
負債総額からして会計監査人の監査は受けていないはずですが、負債総額70億円で倒産されると、影響を受ける取引先は結構多いのではないかと思います。
一定の基準額を設けて法定監査の要否を決定している以上、どこかで線を引く必要があるわけですが、会計士もあまっているようなので、他の国でみられるような基本的に全社会計監査を義務付けるという手もあるのかなという気はします。
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