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総会決議がない役員報酬の支払は違法か?

以前”役員報酬は事後的に総会決議しても適法?”というエントリで役員報酬決議を事後的に行っても役員報酬の支払は適法であるとした判例を紹介しました。

さらに踏み込んだ内容がT&A masterのNo.519の”株主総会決議がない役員報酬の支払は適法か?”という記事に掲載されていました。

普通に考えれば、当然違法のはずです。そうでなければ、会社法で役員報酬を定款又は総会決議で定めなければならないと定めている意味が全くなくなってしまします。

ところが、上記の記事で掲載されていた判例(東京地裁平成25年8月5日判決)では、事後的にすら総会決議がない役員報酬の支払が適法とされています。この事案では、同族株主間のトラブルから訴訟に発展したとのことです。そして、この判決を下すにあたり裁判所は以下のような判断の枠組みを示しました。

会社法361条1項が、取締役の報酬等の額については、定款に定めのないときは、株主総会決議によって定めるとし、取締役の報酬の額の決定を株主総会決議にかからしめている趣旨は、取締役の報酬の額について、取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止するために、これを定款又は株主総会の決議で定めることとし、株主の自主的な判断にゆだねているからであると解される(最高裁平成11年(受)第948号・同15年2月21日第二小法廷判決・判例タイムズ1172号96頁参照)。
そうすると、株主総会決議を経ないで取締役の報酬が支払われた場合であっても、株主総会決議を経た場合と同視できる事実が存在する場合、すなわち、株主総会決議に代わる全株主の同意があった場合には、上記趣旨を全うすることができるのであるから、当該決議の内容等に照らして上記規定の趣旨目的を没却するような特段の事情が認められない限り、当該役員報酬の支払は適法有効なものになるべきである。

そして、訴訟を提起した原告会社の株主(現在の代表取締役)が、本件役員報酬が支払われた当時、①株主総会の不開催に異議も述べない経営に関心のない株主とはいえないこと、②株主総会を開催することなく一定の役員報酬が支払われていたことを認識すす一方で意義を申し出なかったことなどを指摘し、実質的に役員報酬の支払いについて同意がなされていたと認定し、本件役員報酬を適法としました。

この判例からすると、敢えて事後的に株主総会決議をとらなくても適法と判断されるケースも多々あると判断されますので、非常に参考になる判例ではないでしょうか。

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