毎日4時45分に帰る人がやっているつまらない「常識」59の捨て方
この本は、働きやすい会社、あるいは従業員にやさしい会社などとして度々紹介されることがある未来工業㈱の創業者である山田昭男氏が書いたものです。
未来工業では1日の業務時間が7時間15分で残業や仕事の持ち帰りは禁止だそうで、そのため仕事を効率的にこなさなければならないこととなり、常に考えることが欠かせないとされています。そして、世の中の変化に対応していくためには常識にとらわれず、常に考えるという姿勢が大切だとしています。
また、見返りを求めず、まず与えることを仕事の大原則にしていると述べられています。これは、未来工業では60点~70点の成果しか残せない人にも100点の人と給料に差をつけないという点にも表れているように思います。もっともこの理由としては、60点~70点の人に80点~90点の仕事をしてもらうのは経営陣の役割だと考えていること、日本人は根が真面目なので60点~70点の人が100点の人と同じ給料をもらえば、会社のために頑張って働こうと思うためと述べられています。
また、面白いのは、未来工業では本社も営業所も、営業担当はパソコンを原則禁止にしているという点です。これは、営業の基本は、自社製品を扱ってくれる問屋さんと、自社製品を使ってくれる工事業者さんと会って話すことにあるという考えによっているためとのことです。もっとも、パソコンを使用できなくしても問題ないかどうかは、各社のやっている事業内容による部分も多いのではないかと感じます。
この他、未来工業では上司から部下へも命令が禁止されており、その代り説得と納得させることが義務付けられているとされています。その一方で、部下から上司に対しても、どうしましょうか?という聞き方も禁止されているとされれています。つまり、自分の意見を持った上での相談が必須ということのようです。
この他にも色々と記載されていますが、一方でちょっと突っ込みたくなる内容もいくつかありました。
この本によると、未来工業は創業以来49年間売上目標を立てたことは一度もないと述べられていますが、未来工業は上場しており、業績予想も開示しています。そうすると、業績予想で開示されている売上高はどういった位置付けになるのだろうか・・・
また、64歳のKさんは、7時15分で仕事を終える段取りのためなら、朝30分の早出も厭わないし、大型連休には休み明けにスムーズに業務を再開できるように休日最終日には出社するそうで、これらは無給だとされています。ただ、これも業務の準備を行っているのであれば、本来は労働時間なのではないかという気はします。
個人的には、従業員を大事にすると定評のある会社で、このような本来は労働時間だろうという部分があった場合に労基署がどのような判断を下すのかは興味があります。
日々成長