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虚偽記載等の損害賠償責任が過失責任に

2013年12月に金融審議会がとりまとめた「新規・成長企業へのリスクマネーの供給のあり方等に関するワーキング・グループ報告(案)」において「提出会社の損害賠償責任の見直し」が取り上げられています。

現行の金商法においては、虚偽記載等により生じた損害に対する提出会社の損害賠償責任は無過失責任とされていますが、これが「適切かどうか検討すべきである、との指摘がなされている」ことをうけてのものです。

結論としては、「現行制度の趣旨・目的を損なわない範囲において、一般原則どおり、過失責任とすることが適当であると考えられる。」とされています。

理由としては、「近年、課徴金制度の整備や内部統制体制構築の定着などによって違法行為の抑止効果が強化されている」ことがあげられています。

なお、過失責任とするとしても「提出会社の故意・過失の有無に係る立証責任については、投資者の訴訟負担が過大にならないよう、現行の制度における役員等の損害賠償責任に係る立証責任と同様に、立証責任を転換し、提出会社が自己の無過失の立証責任を負うこととすることが適当である」と立証責任の転換が提言されています。

ところで、虚偽記載等で提出会社が損害賠償を請求されるようなケースにおいて、無過失といえるようなケースはどのような場合なのかが気になります。
この点に関連すると思いますが「提出会社の無過失とは、当該提出会社の役員等に過失がない場合とすべきか、従業員を含めた提出会社の構成員全体に過失がない場合とすべきかについても議論がなされた」とされています。

提出会社の役員等の過失で考えると、従業員不正の場合で、世間一般的に求められる水準の内部統制が構築されていた場合であれば、たしかに会社に過失がないと判断されることもあるかもしれません。

しかしながら、この報告でも「金融商品取引法上の損害賠償責任が発生するのは、そもそも、当該有価証券報告書等の「重要な」事項について虚偽の記載があった場合等に限定されており、そうしたケースは、通常、役員に何らかの注意義務違反がある場合が多いと考えられる」とされているように、現実問題として損害賠償請求につながるような従業員不正であれば会社に注意義務違反があると考えられることから、過失責任であっても無過失責任であっても、立証責任の転換が図られるのであればほとんど影響はないように思います。

ただし、一般的にみて損害賠償は酷であるというケースが生じた場合に提出会社が救われる可能性があるという点では、提出会社にとって朗報といえそうです。

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