平成26年4月1日以降の期間対応分の消費税を追加で請求しない旨の告知の可否
消費税転嫁対策措置法では消費税の転嫁を阻害する表示を行うことが禁止されています。
具体的には以下のようなものが禁止されています。
さて、平成26年4月1日以降の期間分を含む年間保守料などについて、消費税を追加請求しない事とした場合に、その旨を告知することは上記で掲げられているような禁止行為に該当するのだろうか?という疑問が生じます。
平成26年4月1日以降の期間分の増税分の消費税を追加請求するかどうかについては、採用している会計処理(期間按分しているのかいないのか)や追加請求する場合の事務コストなどを勘案して各社で判断することになると考えられます。
このブログでも何度か取り上げていますが、受領した金額を前受金等で計上し期間按分して収益認識している場合、増税分の消費税を追加請求しなければ増税分の影響を売主がかぶることになってしまうようですので、基本的には追加請求したいというのが本音です。
しかしながら、事務コストを勘案するとやってられないので追加請求は行わないという判断をしたとします。この場合、顧客からの不要な問い合わせを減らすためにも、平成26年4月1日以降の期間対応分の消費税の追加請求は行わない旨の告知したいところですが、一方で、追加で請求を行おうとする事業者の消費税の転嫁を阻害する面がないとも言えないためです。
そういった観点で事例を探してみると、平成26年4月1日以降の期間分の消費税を追加請求する旨を告知しているものは、比較的見つかりますが、消費税を追加請求しない旨を告知しているケースはみない気がします。
OBCとかPCAとは汎用会計ソフトを販売しているような会社は、間違いなく該当する年間保守(サポート)があるはずですが、消費税の請求方針については特に明示されていないようです。
と、事例を探していたら、今まで気づきませんでしたが税務通信に「弊会の消費税率引上げへの対応について」と消費税の請求方針が記載されていることに気付きました。
ここには、以下のように記載されています(一部抜粋)
平素は、税務研究会の定期刊行物,書籍,研修会等をご愛顧いただき誠にありがとうございます。
ご承知のとおり、平成26年4月1日より消費税率(国,地方含む)が8%に引き上げられることになりました。定期刊行物については,本年10月以降のご契約(継続を含みます。)に係る年間購読料から予約販売に係る書籍等の経過措置の適用はありませんが、弊会では,平成26年3月31日までの新規のご契約、継続のご契約については,現在の税込年間購読料でご請求をさせていただきます。ご購読料の請求書には平成26年4月1日以後の期間が含まれていますが、追加のお支払いをお願いすることはありません。
というわけで、気になった消費税を追加請求しない旨の表示ですが、税務通信が上記のような内容を告知していることからすれば、問題ないと考えて良さそうです。
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