2013年経営財務が選んだ5大ニュースとは?
金融機関などを除くと本日で仕事納めという会社が多いようですが、経営財務の3144号に「本誌が選ぶ2013年”経財”5大ニュース」という記事が掲載されていました。
選ばれていたのは以下の五つです。
1位 企業結合基準改正,コンバージェンスに区切り ~「少数株主持分」が「非支配株主」に
2位 不正リスク対応基準が誕生,適用目前に ~2014年3月期から適用
3位 日本版IFRS策定へ,ASBJが部会設置 ~2014年秋に作業完了へ,修正項目検討
4位 改正退職給付基準,適用迫る ~自社計算で対応する会社も
5位 会社法改正法案を国会提出 ~社外取締役を置くことが相当でない理由を説明
振り返ってみるといずれも話題になったものばかりで、会計実務的には企業結合基準の改正と退職給付基準の改正が大きく影響しそうです。
特に企業結合基準の改正は、2015年4月1日以降開始される事業年度から適用されることとされており、その前後で少数株主持分(非支配持分)の取引が損益取引として取り扱われるか資本取引として取り扱われるかが変化するため、そのへんを考慮して2015年3月までに持分を変動させるということもでてくるのかなという気はしています。
第2位に選出されている不正リスク対応基準については、監査を受けている側としてはあまり影響はないのかなと考えていましたが、2013年12月25日に日本公認会計士協会の会長声明として「今3月期の「監査における不正リスク対応基準」への対応及び会社法監査における十分な監査時間の確保について 」というものが公表されました。
この中で「会社法監査における十分な監査時間の確保」について述べられています。これは、「実務上、会計監査人の対応としては、会社の決算発表の早期化に呼応して監査期間の短縮化を図り、法定の期限前に会計監査報告の内容を通知する場合がある」としたうえで、「法定の期限前に会計監査報告の内容を通知する日程で期末監査を計画している場合、個々の状況に応じて監査上適切な対応ができるか否か、今一度監査日程を見直し、状況次第では監査日程を修正することも必要と考えられる」というものです。
会社法では大雑把にいえば「計算書類の全部を受領した日から4週間を経過した日」までに監査報告書を提出しなければならないとされていますが、この日数を確保した上で決算を締めるのに要する日数を考慮すると少なくとも5月にならないと監査は終わらないということになります。
上記の声明でも述べられているとおり、4週間をフルに使うことなくそれ以前の期間で監査を終えるということも多いのが現状ですが、このような会長声明が出されたことにより2014年3月期の決算日程は今までよりも遅くしてほしいという監査人からの申入れがあるかもしれません。
第5位に選出されてる会社法の改正案については、会計監査人の選解任等に関する議案については監査役に「決定権」が付与されるようになるとされていますが、実務上それでなんらかの影響がでてくるのかについて興味があります。
経営財務が選ぶ5大ニュースなので、会計および会社法から選出されたということだと思いますが、税務までふくめて考えると消費税が来年4月から8%へというのが一番のニュースではないでしょうか。
消費税の増税については、システム対応から価格の表示の方法、さらには営業方法などにも影響するので全社的に影響が及びます。これらに対応するコストを考えると、ほとんど間もなく二段階で消費税を増税するということの不合理さを感じることも多いのではないかと思います。
この他では、2013年のIPO社数は54社となり、新規上場会社数では4年連続で増加し6年ぶりの高水準という結果になりました。MBOなどで上場廃止する会社が目立っていたので、IPOで会社数が増えているのは明るい話題です。
しかしながら、一昔前ほど過去の業績が重視されなくなり、将来性がありそうであればIPOが可能という風潮が出てきているとも聞くので、PER100倍でも投資を正当化できるほどの将来性があるのかを投資する側は自己責任でよく考える必要がありそうです。
日々成長