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解雇を巡る争いで支払われた和解金の税務上の取り扱い

従業員の解雇を巡って争いとなった場合、仮に裁判で解雇無効とされた場合には、実際に労働はしていなくとも、解雇時から継続して従業員であったものとして給料を支払うことになるのが一般的です。

そのため会社としては、解雇が無効となる可能性がある程度見込まれる場合には、ある程度の金銭を払って和解しようとすることがあります。労働者としても、何が何でも会社に復職したいというのでなければ、ある程度の金銭をもらって、心機一転別の会社で働いたほうがよいと考えるほうが自然なので、最終的には和解で決着がつくということもめずらしくありません。

さて、この際に支払われる和解金ですが、税務上の取り扱いはどうなるのでしょうか?

結論としては、退職所得として取り扱うことになります。

上記のようなケースでの和解金は、過去分の給与や損害賠償とも考えられそうですが、そのいずれでもなく退職所得として取り扱われるとのことです(ビジネスガイド2014年7月号「従業員の解雇に伴う税務」)。

では、退職所得とは何かですが、「退職所得とは、退職手当、一時恩給その他退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」(国税庁 タックスアンサーNo.2725)を意味します。そして、「すなわち、退職所得として課税される退職手当とは、退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます」(同タックスアンサー)とされています。

解雇を巡って争いとなった際に、会社から元従業員に支払われる和解金は、退職の事実に起因して一時に支払われる性質のものであるため退職所得に該当するということになるとのことです。

一方で、仮に裁判で解雇が無効とされ、従業員として復職した場合に過去分の給与を支払った場合は、通常通り給与所得として取り扱われることになります。

さてここで、以前”未払残業の和解解決金は課税対象か?”というエントリで書いた未払残業を巡る争いで会社が和解金を支払った場合はどうなるのかが気になります。このエントリでは主には損害賠償として非課税になるのかという観点から検討しましたが、退職後の未払残業代請求に対する和解金であれば、上記の考え方からすると損賠賠償と考えるよりは退職所得として取り扱うほうが理解しやすいと思います。

解雇を巡る争いで支払われる和解金も退職後の未払残業代請求を巡る争いで支払われる和解金も、従業員の気分を害したことに対する補償と裁判で白黒つけないと確定しない潜在的な賃金に対する補償という二つの要素を含んだものと考えられます。

このように考えると、両者は同じように取り扱った方が合理性といえるのではないでしょうか。

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コメント

    • sibayasu
    • 2016年 7月 03日

    引用されているタックスアンサーno.2725は以下の内容です。最後尾の段落を読む限り、会社都合の解雇・雇止め等により、退職を強いられた人が、会社と交渉して和解金(解決金)をもらうことになった場合であっても、当該和解金が給料のXXカ月分というような根拠・基準のわかるような性格のものであった場合は、退職所得でなく給与所得と見なされてしまうのではないでしょうか?

    仮に和解合意書では、和解金の算出根拠や基準には一切触れず、単純に「和解金XXX万円」とあった場合、どうあつかわれるか興味のあるところです。税務署は和解金の性格、根拠・基準について説明を求めてくるのではないでしょうか? 

    その場合、給料のXXカ月分といった決め方でなく、つかみで双方交渉して妥協した金額だというやや乱暴な説明が通るかどうか、です。あとは交渉次第になるのではないでしょうか? 

    だから、一概に退職金扱いされるとは言えないと思います。いかがでしょうか?

    quote

    1 原則

     退職所得とは、退職手当、一時恩給その他退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(これらを「退職手当等」といいます。)をいいます。

     すなわち、退職所得として課税される退職手当等とは、退職しなかったとしたならば支払われなかったもので、退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいいます。

     したがって、退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で、支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とされます。

    unquote

      • MAK
      • 2016年 7月 03日

      コメントありがとうございます。
      和解金が給与のXか月分と定められていた場合に、給与所得として取り扱われるのではないかという点ですが、そもそも私は税の専門家でもないので、その可能性がないとはいえません。したがって、何らかの処理等を行う場合には、税理士に考え方を後確認頂けますでしょうか。

      その上で、私見を述べさせていただくとすると、「和解」は何が正しいかを決めるのではなく、双方がそれぞれの主張を譲歩して合意できる落としどころを探そうとする手続きだと理解しています。つまり、解雇は有効という前提に立つことに労働者が納得するために支払われる金銭が和解金ということになると思います。そのため、仮に和解金が給料のXか月分というように計算されていたとしても、それはあくまで双方が同意できる和解金の金額を算出するための目安であって、労働の対価としての給与とは性質が異なるのではないかと思います。

      退職を強いられるというほど強制力はありませんが、結果的に従業員と合意の上で退職させるという点では、リストラの一環として実施される早期退職制度で支払われる割増退職金は和解金に類似しているように思います。割増退職金の場合は、その水準が仮に給料の何ヶ月分と設定したとしても退職の事実に起因して支払われる一時金として退職給与として処理されることとなると思いますが、会社からすると退職に合意して貰うための対価という意味では和解金と同様ですので、同様に取り扱うということは考えられるのではないかと思います。

      タックスアンサーの「支払金額の計算基準等からみて、他の引き続き勤務している人に支払われる賞与等と同性質であるものは、退職所得ではなく給与所得とされます。」という部分ですが、上記のような考え方にたつと、「同性質」ではないという捉え方になります。解雇を有効という前提にたつ会社の立場からすれば、もはや労働の対価を支払う根拠はなく、和解金はその決定方法がどのようなものであって給与としての性質は有しないとは考えられないでしょうか。

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