「連結財務諸表に関する会計基準」等の改正(その2)ー追加取得時の処理
改正前の設例4との比較
改正後の実務指針の設例4と改正後の設例5は追加取得に係る部分の前提条件が似通っていますが、微妙に追加株式取得時のS社の貸借対照表の数値が変わっています。
従前の設例での追加取得時のS社の貸借対照表は以下のとおりです。
この前提で処理を行う追加取得年度の処理はとどうなるのかを考えてみます。
上記で確認した①~③の処理については特に変更ありません。
④非支配株主に帰属する当期利益の計上は当期純利益の金額が変わっていますので、以下の仕訳となります。
貸)非支配株主持分 40
当期純利益100×40%=40
そして、純資産の金額が変更されているので、⑤の仕訳は以下のようになります。
資本剰余金 40
*1 (500+400+400)×20%=260
つまり、従来「のれん」として処理されていた金額が「資本剰余金」になっているだけですが、このままだと資本剰余金マイナスになるケースに該当し別の論点が入るため数値を変更したものと推測されます。
資本剰余金がマイナスになった場合の取り扱いについては次回以降に譲るとして、最後に一点確認しておきます。
P社投資とS社資本の関連図
実務指針設例5にはP社投資とS社資本の関連図として以下の図が掲載されています。
下の方に「資本剰余金」が登場しているのが従来と異なりますが、以前の設例4の前提(正のれんが発生するケース)で考えると以下のようになります。
上記で黄色で塗った部分の取り扱いが変更になっている部分です。従来ここに「のれん」として計上されていた金額が図の下の方に資本剰余金となっているので当然なのですが、一方で、この部分に「のれん」が計上されていないことによって、子会社株式を一部売却した場合の取り扱いが複雑になります。
一部売却ではこの部分が効いてくるという点をとりあえず押さえておいて、続きは次回以降とします。
”「連結財務諸表に関する会計基準」等の改正(その1)-非支配株主持分の取り扱い1”はこちら
“「連結財務諸表に関する会計基準」等の改正(その3)-一体取引の処理等“はこちら
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