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「連結財務諸表に関する会計基準」等の改正(その3)-一体取引の処理等

2.一体取引の記載内容の明確化

企業結合会計基準では、複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱う旨が定められています(第5項)。

そして、同基準66項では「企業結合は、一般的には連結会計基準にいう他の企業の支配の獲得も含むため、現金を対価とする子会社株式の取得の場合についても、連結会計基準に定めのない企業結合に関する事項については、本会計基準の適用対象となる」とされています。

したがって、複数の取引が一体とみられるような子会社株式の取得等については企業結合会計基準の適用対象となるということになります。

企業結合会計基準66項では一体取引の取り扱いについて以下のように述べられています。

複数の取引が1つの企業結合を構成している場合には、それらを一体として取り扱うことに留意する(第5項参照)。通常、複数の取引が1事業年度内に完了する場合には一体として取り扱うことが適当であると考えられるが、1つの企業結合を構成しているかどうかは状況によって異なるため、当初取引時における当事者間の意図や当該取引の目的等を勘案し、実態に応じて判断することとなる。

支配獲得後の追加取得等の会計処理が改正されたため、取引を一体とみるか否かによって、一括取得であれば「のれん」として計上されたであろう金額が資本剰余金となることが起こりえます。

そのため「のれん」の償却負担を嫌って、複数回に分けて取得しようというような思惑も生じると考えられる一方で、本当に当初の意図としては追加取得を想定していなかったものの同一年度内に追加取得を行うというようなケースも考えられます。

企業結合会計基準では、同一年度内の複数の取引は通常一体取引だとされていますので、「実態に応じて判断する」と書かれているものの、なんでもかんでも一体取引として取り扱われてしまう方向に流れることを防止する趣旨で資本連結実務指針7-3項で以下の内容が明らかにされています。

  1. 複数の取引が行われる場合、通常、取引の手順に従って、それぞれの取引について会計処理が行われる。
  2. 複数の取引が一体として取り扱われるかどうかは、事前の契約等により複数の取引が一つの企業結合等を構成しているかどうかなどを踏まえ、取引の実態や状況に応じて判断する。

それほど明確な指針ではありませんが、様々な状況が想定されるため上記のような記載内容となったようです。ただし、「事前の契約等により」とあるため、事前に書面で明確にされているかどうかが一つのポイントとなると考えらえます。

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