ストレスチェック義務化法案が成立しました-2014年6月19日
安全配慮義務違反が問われるケースが増加するのでは?
上記のとおり会社として、必要なことが増えますが、中でも第6項の対応を間違えないことが重要なのではないかと考えられます。もちろん、それ以前に労働時間の短縮や職場環境の改善などに取り組むことは必要ですが、この条文ができたことにより、適切な対応を取らなかったことによる安全配慮義務違反が問われるケースが出てくることが想定されます。
ストレスチェックの受診は義務か?
条文の第1項にあるとおり、心理的な負担の程度を把握するための検査を行なければなりませんが、労働者はこれを受診しなければならないのでしょうか?
この点については、法案の審議過程において、「労働者の意に反してまで、ストレスチェックの受診を義務づけることは適当でないため、労働者の受診義務に関する規定は削除する。」として法案の修正がなされていることから、労働者にとっての義務ではありません。
しかしながら、ストレスチェックを受けていようがいまいが、会社が労働者に対して安全配慮義務を課されていることに変わりはないので、会社としてはこのような制度を前向きに利用して対応を図るという姿勢が重要だと考えられます。
そのような観点からは、就業規則にストレスチェックの受診を義務付ける規定を追加するなどの対応も必要になると考えられます。
ストレスチェックはどのようなものか?
厚労省のフロー図によれば、スタート部分に「ひどく疲れた、不安だ、ゆううつだ等」と記載されていますが、これは平成22年10月に労働安全衛生研究所がまとめた「ストレスに関連する症状 ・不調として確認することが適当な項目等に関する調査報告書」の中で示している「新たなチェックリスト」の質問項目を連想させます。
上記のチェックリストは以下のとおり全部で9つの質問から構成されています。
基本的にはこのような質問表を利用したチェックになるようですが、どのような質問項目にするのか等は検討中であり、今後指針として示されることになるようです。
例えば、厚労省がWebで提供している「5分でできる職場のストレスチェック」では、全部で57の質問が用意されており、これに答えることで診断結果が最後に表示されるようになっています。ここで使用されている質問項目は、「職業性ストレス簡易調査票」(東京医科大学)のものですが、この程度の質問項目であれば受診者もそれほど負担は感じないように思いますので、最終的には10から60くらいの間の質問項目に落ち着くのではないかと考えられます。
今やるべきことは?
この新たな制度に関係した営業が既に行われているようですが、指針等が示されるまではどの程度何をすべきかがわかりませんので、現時点で新制度に対して直接的なアクションをとる必要はないと考えられます。
むしろ、長時間労働やパワハラ等でメンタル疾患になってしまった労働者がいる場合には、働き方や職場環境の見直しを図るということが何よりも必要かつ効果的な対応になるのではないかと考えられます。
日々成長