国境を越えた役務提供に対する内外判定基準が見直しへ
国境を越えた役務提供(サービス)に対する消費税問題への対応を検討していた政府税調の法人課税ディスカッショングループから、6月26日に役務提供に係る内外判定基準を仕向地主義に変更する案が示されました。
海外からインターネット経由で購入される電子書籍や音楽などについては、現状「国外取引」として消費税が課せられておらず、この点に関しては国内事業者から改正を求める声が強かったということで、上記のような対応がとられることとなりました。
なんだかんだいっても消費税10%は既定路線でしょうから、楽天KoboのようにAmazonに対抗してきちんと(?)対策を練れる規模の会社ではまだしも、そのような資本力のない国内事業者は消費税課税の有無によって10%の差が生じるとやってられないというのはわかります。
ただし、電子書籍に関していえば、ユーザーとしては消費税が課税されていようがいまいが、紙媒体に比べてリーズナブルな価格設定にしてほしいということに尽きるのではないかと思います。
さて、報道では主に電子書籍や音楽配信が取り上げられていますが、今回示されているのは、役務提供に係るる内外判定基準を見直そうというものですので、電子書籍や音楽配信に限られる話ではありません。
具体的には、国外事業者が行う役務の提供のうち国内外にわたる役務の提供などで、その役務の提供が行われた場所が明らかでないもの(国際運輸・国際通信等の一定の取引を除く)についての国内外の判定基準について、現状「役務の提供を行う者の事務所等の所在地」となっているものを「役務の提供を受ける者の住所・居所又は本店・主たる事務所の所在地」に変更するというものです。
さらに、デジタルコンテンツの提供については「資産の譲渡・貸付け」ではなく、「役務の提供」として消費税法が適用されることが明確化されるとのことです。
上記のような改正が行われると、いわゆる海外事業者のクラウド系のサービスについては消費税の課税対象となることが見込まれます。
では、海外事業者が提供するソフトウェアをダウンロードして購入したようなケースはどうなるのでしょうか?
現状、ソフトウェアは、資産の所在場所が必ずしも明らかではなく、また、登録の対象となるものではないなど著作権に類似する権利として「著作権等」に該当すると解されています。そのため、その内外判定はその譲渡又は貸付を行うものの住所地により行うことになります(消費税法施行令6条1項7号)。
もっともパッケージソフトウェアの購入というのは、単にソフトウェアの使用許諾を受けているだけすが、内外判定を譲渡または貸付を行うものの住所地で行うことにかわりはありません。
そのため、現行法においては、海外事業者の海外サーバーから配信されるソフトをダウンロードして購入した場合は、国外取引として消費税が課せられません。
ソフトウェアとコンテンツは異なるので取り扱いが異なるという考え方もなりたちますが、電子書籍も権利としては著作権として保護されているものであることから考えると、ソフトウェアについてのみ、現行どおりの内外判定を継続するというのは違和感を感じます。
そうであるとすると、エンドユーザーとしてはありがたくない話ですが、ソフトウェアについてまで広がってくる可能性も考えられそうです。
日々成長