産前産後休業の社会保険料免除と手続き
今回は産休中の社会保険料の免除についてです。そもそも、ここでいう産休とは、労働基準法65条で定められている産前産後の休業を意味します。
要約すると、出産予定日の前6週間(多胎妊娠の場合は14週間)、出産後8週間の休業を意味します。細かい点でいえば、産前の休業は「出産する予定の女性が休業を請求した場合」に休業させなければならないとされているのに対し、産後6週間は労働させることが認められないという違いがあります。なお、産後6週間経過後は、女性が請求し、かつ、医師が支障がないと認めた認めた業務に就かせることができるとされています。
さて、本題に戻ると、従来から育児休業期間中は社会保険料が免除になるとされていましたが、産休中は社会保険料が免除されていませんでした。普通に考えるとおかしいのですが、これが改正され、ようやく2014年4月から産休中の社会保険料も免除されることになりました。
ただし、この制度が適用されるのは2014年4月30日以降に産休が終了する被保険者からとなります。この理由は後述します。
必要な手続き
第一に、自動的に社会保険料が免除になるわけではなく、所定の手続きを経ることが必要となります。
具体的には、以下のような「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。そして、日本年金機構が公表している記入例には、この申出書は「産前産後休業期間中に提出してください」と記載されています。
そして上記の「産前産後休業取得者申出書」には「産前産後休業期間」を記入する必要があります。ここで一つ問題が生じます。
というのは、産後休業の終了時期は変動することの方が多いと考えられるということです。そんなの当然では?と思うかもしれませんが、面倒なことに出産予定日の前後に出産した場合には「産前産後休業取得者変更(終了)届」なるものを届け出る必要があります。
そのため、産前休業中に届け出をした場合には、出産日が出産予定日とずれることによって「産前産後休業取得者変更(終了)届」を提出しなければならないというケースが多く発生すると考えられます。
そのような二度手間を避けるためには、出産後の産後休業期間中に届け出をするということが考えられます。
ただし、この方法によると産前休業が6週間あるため本来免除となる期間の社会保険料を支払ったうえで、事後的に社会保険料が免除になるということが起こる可能性が高いといえ、会計処理をきちんとしようとするとやや煩雑になることが予想されます。
また、産休終了後、直ちに育児休業に入る場合であっても従来通り「育児休業取得者申出書」の提出が必要です。