改正会社法(その2)-監査等委員会設置会社詳細(その1)
今回は改正会社法で導入される監査等委員会の内容を確認していきます。
1.監査等委員会の概要
監査等委員会は、監査役(会)の代わりに、取締役で構成される監査等委員会が取締役の監督をするという仕組みです。少し意地の悪い言い方をすれば、(社外)監査役の報酬見合いで「社外取締役」を置くことができる制度といえるかもしません。
というわけで、社外取締役の選任が義務化されると、監査等委員会設置会社が増えるかもしれません。
2.監査等委員会設置会社になるには?
株式会社は、定款の定めによって監査等委員会を置くことができるとされています(改正会社法326条2項)。
監査等委員会設置会社の場合、他の機関との関係は以下のようになります。
上記のとおり、監査等委員会設置会社になるためには、会計監査人設置会社である必要があることから、非上場の会社の場合は、いわゆる会社法上の大会社でないと選択しにくい機関設計ということになります。
なお、監査役(会)設置会社が、定款を変更し監査等委員会を行う旨の定款変更を行った場合には、その定款変更の効力が生じたときに、監査役に任期が満了するものとされています(改正会社法336条4項2号)。この考え方は、会計監査人設置会社が定款変更で会計監査人設置会社であることを辞めた場合の会計監査人の任期満了と同様です。
3.監査等委員会の構成等
監査等委員会設置会社の監査等委員会は3名以上の取締役で構成され、かつ過半数は社外取締役でなければなりません(改正会社法331条6項)。
したがって、監査等委員会設置会社となるには、最低2名以上の社外取締役が必要となります。
なお、監査役会設置会社の場合、常勤監査役の選任が必要となりますが、監査等委員会設置会社の場合の「常勤」監査等委員の選任は必要とされていません。ただし、常勤監査等委員を選任しない場合はその理由を事業報告の記載事項とするように法務省令を改正する方向で検討がすすんでいるとのことです(「ここが変わった!改正会社法の要点がわかる本」長島・大野・常松法律事務所 三原秀哲著)。
また、監査等委員である取締役は、監査等委員会設置会社もしくはその子会社の業務執行取締役もしくは支配人その他の使用人またはその子会社の会計参与もしくは執行役を兼務することはできません(改正会社法331条3項)。
監査役であれば、業務執行取締役に限らず子会社の取締役になれませんので、そういった意味では監査役よりも兼任禁止規定が緩いともいえますが、指名委員会等設置会社の監査委員の兼任禁止と同様の取り扱いとなっています。
4.登記事項
監査等委員会設置会社は、以下の事項を登記しなければならないとされています(改正会社法911条3項22号)。
- 監査等委員会設置会社である旨
- 監査等委員である取締役及びそれ以外の取締役の氏名(同号イ)
- 取締役のうち社外取締役であるものについて、社外取締役である旨(同号ロ)
- 重要な業務執行の決定の取締役への委任(改正会社法399条の13第6項)について定款の定めがあるときはその旨(同号ハ)
長くなりましたので今回はここまでとします。
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