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繰延税金資産の回収可能性-例示区分の原案とは?

T&A master No.578に「繰延税金資産の回収可能性、例示区分の原案が明らかに」という記事が掲載されていました。

繰延税金資産の回収可能性については、例示区分を残すのか、繰越欠損金の繰越期間が延長されているにもかかわらず従来の5年縛りを見直すのかなどが議論にあがっていたようですが、結局例示区分は残ることとなりましたが、5年縛りは多少緩和される方向で検討がすすめられているようです。

繰延税金資産の回収可能性の検討にあたり、よく問題となるのが、いわゆる例示区分4但し書きの会社です。

現行の監査委員会報告第66号では、例示区分4(重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等)に該当する会社の場合、「原則として、翌期に課税所得の発生が確実に見込まれる場合で、かつ、その範囲内で翌期の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき、それに係る繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産は回収可能性があると判断できるものとする。」とされています。

一方で、例示区分4に該当しても「重要な税務上の繰越欠損金や過去の経常的な利益水準を大きく上回る将来減算一時差異が、例えば、事業のリストラクチャリングや法令等の改正などによる非経常的な特別の原因により発生したものであり、それを除けば課税所得を毎期計上している会社の場合には、将来の合理的な見積可能期間(おおむね5年)内の課税所得の見積額を限度として、当該期間内の一時差異等のスケジューリングの結果に基づき、それに係る繰延税金資産を計上している場合には、当該繰延税金資産は回収可能性があると判断できるものとする」という抜け道が用意されています。

上記の記事によれば、現時点の案としては、まず例示区分4を「重要な税務上の繰越欠損金が存在する会社等」から「重要な税務上の欠損金を計上している会社等」と、繰越欠損金の残額ではなく計上したかどうかに焦点が当てられるように変更されるとのことです。

さらに、「ただし、重要な税務上の欠損金の発生原因等を勘案して将来的に課税所得を見積もった場合、5年超にわたり継続して継続することが合理的に説明できる場合は例示区分2号に該当。おおむね3年から5年程度は課税所得を計上することが合理的に説明できる場合は例示区分3に該当する」と反証可能規定が設けられることで、例示区分3のみならず例示区分2までもっていける可能性がでてくることになるようです。

もっとも、合理的に5年超の課税所得が生じることを説明するというのはハードルが高いように感じますので、結果的には従来とあまり変わらないということになるのではないかと考えられます。

また、例示区分4但し書きの会社が合理的に5年超の課税所得が生じることを説明できれば例示区分2になりうることとの整合性からだと思いますが、例示区分3においても「5年を超える期間においてスケジューリングされた一時差異等に係る繰延税金資産について合理的に回収可能であることを合理的に説明できる場合には、その範囲の繰延税金資産は回収可能性があるものとする」とされています。

そもそも例示区分3は業績が不安定であるという前提ですので、合理的に5年超の課税所得が生じることを合理的に説明するというのは矛盾しているような気はしますが、例示区分4但し書きから例示区分2という可能性があるのであれば、例示区分3で5年超の期間を合理的に説明することができることがあってもよいということなのでしょう。

合理的に説明できる限りにおいて、期間等を限定しないという方向の改正は理解できますが、実際問題として利用できる機会は多くないと思います。

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