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人事権の行使による賃金減額の有効性(その1)

会社は人事権を行使することで、従業員の職種を変更したり、役職や職位の降格を命じたり、人事考課の結果等により賃金等級を引き下げることがあります。

今回はこのうち従業員の職種を変更した事により賃金を減額した場合の有効性について確認します。

長期的な雇用を予定した正従業員については、職種・職務内容を限定せずに採用し、会社内での従業員の職業能力・地位の発展や労働力の補充・調整のために系統的で広範囲な配置転換が行われるのが通常です。

まず、職能資格給が採用されている会社で、職種の変更が行われた場合、「職種と賃金は連動していないので、職種変更があっても、賃金は変更されないのが原則です。とくに従来よりも軽易な職種に従事することになっても、賃金がそれに伴い引き下げられるとはかぎりません。」(労働法実務講義 第三版 大内伸哉 著)

この点について、デイエフアイ西友事件(東京地裁平成9年1月24日)では、「配転と賃金とは別個の問題であって、法的には相互に関連しておらず、労働者が使用者からの配転命令に従わなければならないということが直ちに賃金減額処分に服しなければならないといことを意味するものではない。使用者は、より低額な賃金が相当であるような職種への配転を命じた場合であっても、特段の事情のない限り、賃金については従前のままとすべき契約上の義務を負っているのである」と述べられています。

次に、職務等級制度が採用されている会社で、職種の変更が行われた場合、制度の性質上、職務と賃金が連動して変動するのは当然ですが、実際の運用において、職務と賃金が連動されていると認定されなかったケースでは、就業規則に賃金変更の根拠規定がない限り、労働者の同意があってはじめて変更が可能となるとされています(東京アメリカンクラブ事件)ので、運用状況に注意が必要です。

なお、職種ごとに賃金表が設けられている会社において、職種を限定して雇用された労働者については、異なる職種への配転には当然に合意が必要となります。(労働法 第10版 菅野和夫 著)

賃金は労働者の生活に与える影響が大きいので、不利益な変更を行うのは難しいということになりますが、あらかじめ就業規則に、配置転換により賃金が減額されることがある旨が明記されていれば、配置転換による職種変更により賃金の減額が可能となるのかが問題となります。

この点については、日本ドナルドソン青梅工場事件(東京高判平成16年4月15日)において「給与減額の合理性の判断に際しては、当該給与の減額によって労働者の受ける不利益性の程度(当該給与の減額に伴ってなされた配転による労働の軽減の程度を含む。)、労働者の能力や勤務状況等の労働者側における帰責性の程度及びそれに対する使用者側の適切な評価の有無、被告の経営状況等業務上の必要性の有無、代償措置の有無、従業員側との交渉の経緯等を総合考慮して、判断されるべき」と述べられています。

つまり、就業規則に定めがあったとしても、配転に伴い当然に賃金を減額することができるというものではないということになりますので、合理性と労働者の受ける不利益の程度を勘案して、適切な対応をとっておくことが後々のトラブルを防止することになるといえそうです。

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