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責任限定契約の対象拡大-改正会社法(その9)

今回は5月1日に施行された改正会社法に基づく責任限定契約の対象拡大についてです。

従来、株式会社においては、定款で定めることにより社外取締役・会計参与・社外監査役・会計監査人(これらをまとめて「社外取締役等」といいます)の会社に対する責任について責任限定契約を締結することが認められていました(旧会社法427条1項)。

一方、改正会社法では、業務執行取締役等でない取締役(社外取締役に限らない)および監査役(社外監査役に限らない)が責任限定契約の対象に加えられています(改正会社法427条1項)。

業務執行取締役は基本的には代表取締役をイメージすればよいと思いますが、代表取締役の他、「代表取締役以外の取締役であって、取締役会の決議によって取締役会設置会社の業務を執行する取締役として選定されたもの」も業務執行取締役に該当します(会社法327条1項)。

したがって、社外取締役でない通常の取締役や社外監査役でない常勤監査役であっても改正会社法の下では責任限定契約を締結することが可能となっています。

株主保護や債権者保護の観点からすれば、責任限定契約の範囲を拡大されるのが必ずしもよいことではないと思いますが、このような改正が行われたのは以下のような理由からとのことです。

  1. 改正会社法では「社外取締役」「社外監査役」の要件が厳格化されたため、従来社外取締役または社外監査役とされていた者の中で社外性を失う者が想定されるが、改正前に責任限定契約が締結可能であったものを改正後も責任限定契約の対象とするのは一定の合理性がある(責任限定契約の対象外となるのは酷である)
  2. 業務執行に関与しない取締役・監査役は、もっぱら業務執行取締役の職務を監視・監督が期待される者であり、責任が発生するリスクを自ら十分にコントロールすることができる業務執行者とは立場が異なるため、賠償責任を負う金額を責任限定契約により事前に確定することを認める余地がある
  3. 業務執行に関与しない役員等については、責任限定契約の締結を認めても任務癬怠抑止の観点からの弊害は小さい

改正会社法における責任限定契約導入の要件

(1)定款の定め
旧会社法と同様、責任限定契約を締結するためには、定款に非業務執行取締役等が職務を行うにつき善意かつ重大な過失がないときに、定款で定めた額の範囲内であらかじめ株式会社が定めた額と最低責任限度額とのいずれか高い額を限度とする旨の契約(責任限定契約)を非業務執行取締役等と締結することができる旨を定めていることが必要となります。

(2)定款を変更する場合の監査役の同意等
非業務執行取締役等との責任限定契約に係る定款規定を設ける議案を株主総会に提出する場合、監査役設置会社については監査役(監査役が2名以上ある場合には各監査役)の同意が必要となります(改正会社法427条3項)。なお監査等委員会設置会社の場合は、各監査等委員の同意が必要となります。

最低責任限度額の改正

責任限定契約の対象範囲が拡大されたことに対応して、最低責任限度額についても一部緩和され、改正後の最低責任限度額は以下のとおりとなっています。

①代表取締役または代表執行役 6年
②代表取締役以外の取締役(業務執行取締役・執行役・支配人その他の使用人であるものに限る)または代表執行役以外の執行役 4年
③取締役(①または②に掲げるものを除く)、会計参与、監査役または会計監査人 2年

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