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粉飾決算を巡りオリンパス社に初の損害賠償判決-東京地裁

オリンパスの粉飾決算を巡り、同社に損害賠償を認めた初めての判決が今年3月に東京地裁で下されていたそうです。

T&A master No.598「オリンパス社の粉飾決算事件で同社に損害賠償を命じる初判決」という記事によると、個人投資家がオリンパス社に対し損害賠償を請求していた裁判で東京地裁は今年3月19日に、オリンパス社に対して4,818万円の支払いを命じたとのことです。

この案件において、個人投資家が被った実損は1億1,177万円(当初投資額1億5,537万809円)であったそうです。1銘柄に1億5千万円もの金額を投資できるという点と、集団訴訟ではなく個人で訴訟を起こしていることからすると、一般的な個人投資家の域を超えた投資家の方のようです。

この個人投資家は平成23年10月14日から18日までの間に平均取得単価1,553.7円で10万株を取得していました。平成23年10月14日の株価(終値)は2,045円で、同日行われた英国人の元社長の解任決議を契機に株価は下落していき、平成23年10月31日には1,210円となっています。

そして、平成23年10月31日に不適切な会計処理等の有無を調査する目的の第三者委員会の設置の公表を受けて、さらに株価が下落し、11月8日(株価734円)に公表された「過去の損失計上先送りに関するお知らせ」の公表により、更に株価が下落し、この個人投資家が株を売却した平成23年11月11日には株価が436円(始値)に下落していました。

オリンパスは当該粉飾決算が明らかになるまでは優良企業とみなされていたので、社長解任のごたごたのなかでの株価の下落は、格好の買い場と考えるのも無理はなかったと考えられます。

個人投資家は、虚偽記載がなければ同社株式を取得していなかったとして、約1億円の損害賠償を同社に請求していました。

これに対して裁判所は、「粉飾決算を行っていたオリンパス社が上場廃止基準に抵触する債務超過状態でなかったことなどを踏まえて、虚偽記載がなければ個人投資家がオリンパス社株を取得することがなかったとはいえない」として約1億円の損害賠償は斥けましたが、金商法21条の2第2項(虚偽記載等のある書類の提出者の賠償責任)に基づき具体的な損害賠償を認定したとのことです。

具体的には、金商法21条の2第2項により算出される推定損害額を1株602.2円と認定したうえで、英国人社長解任以後の株価の下落すべてを虚偽記載と相当因果関係がある損害とは認められないとして2割(120.4円)の減額を行い、1株あたり481.8円を損害額として認定したとのことです。

1億1,1177万円の譲渡損失に対して4,818万円の賠償というのは酷ではありますが、虚偽記載がなかったとしたら同社の株式を購入しなかったのかという点については、購入しているタイミングからすると正しい数値が開示されていても購入していたのではないかという気はしますので致し方ないというところでしょうか。

仮にその後同社の株式を保有し続けていたとすると、本日の終値は4,220円なので、2倍以上の株価になっていたということになります。

今回の案件の個人投資家よりも以前に同社の株を購入して、粉飾決算が明らかとなったタイミングで売却した株主の場合には、また異なった結論になるかもしれません。

海外機関投資家との間では最大110億円を支払うという内容で和解が成立しているようですが、国内の機関投資家とはまだ和解や判決は下されていないとのことです。今後もそれなりの規模の損害賠償が生じる可能性はありますが、直近2期で平均600億円程度の経常利益がありますので、会社の存続に大きな影響を与えるというレベルのものにはならないものと推測されます。

結果的には、平成27年3月期に計上した「米国反キックバック法等関連損失」538億円の方がインパクトがあるのかもしれません。

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