平成27年度税制改正(その2)ー法人税関連
”平成27年度税制改正(その1)ー法人税関連”に引き続き、平成27年度税制改正のうち法人税部分の改正内容を確認していきます。
6.試験研究費の税額控除制度の見直し
平成20年4月1日から平成29年3月31日までの間に開始する各事業年度において、試験研究費の増加額について最大30%の割合を乗じて計算した金額の税額控除(措法42の4⑨)が適用期限の到来をもって廃止されます。
ただし、新たに別の制度として税額控除の総枠を当期の法人税額の30%とする制度が導入されています。
30%というのは、試験研究費の総額に係る税額控除制度および中小企業技術基盤強化税制の控除税額の上限としての25%と特別試験研究費の上限としての5%の合計となります。
特別試験研究費の控除率については、従来の12%から、特別試験研究機関等又は大学等との共同研究及びこれらに対する委託研究費については30%、それ以外の場合は20%と大きく控除率が引き上げられています。
ただし、上記の通り、税額控除の上限は当期の法人税額の5%となっています。
また、特別試験研究費の範囲について以下の見直しが行われています。
- 特別試験研究機関等のうち試験研究独立行政法人の範囲から国立研究開発法人以外の法人を除外された
- 特定中小企業者に対する委託研究の対象となる委託先の範囲に公益法人等、地方公共団体の機関、地方独立行政法人等が加えられた
- 特定中小企業者に対して支払う知的財産権の使用料が加えられた
7.地方拠点強化税制の創設
これは以下の二つの制度で構成されます。
- 地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度の創設
- 雇用促進税制の拡充
いずれの制度も青色申告を提出する法人で地域再生法の改正法の施行日から平成30年3月31日までの間に地域再生法の地域活力向上地域特定業務施設整備計画について認定を受ける必要があります。
地方拠点建物等を取得した場合の特別償却又は税額控除制度については、一定規模以上の建物等を取得した場合に、以下の選択てきようが認められます。
①その取得価額の15%(移転計画である場合には25%)の特別償却
②その取得価額の2%(移転計画である場合には4%)の税額控除(法人税額の20%を上限とする)
一方、雇用促進税制の拡充では、以下の要件をすべて満たす場合、移転又は増設した事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする)×50万円の税額控除が認められます。
- 前期及び当期に事業主都合による離職者がいない
- 基準雇用者数(当期末雇用者数-前期末雇用者数)が5人(中小企業者等は2人)以上
- 基準雇用者割合が10%以上
- 給与等支給額が比較給与等支給額以上
- 雇用保険法に規定する適用事業を行っている
- ハローワークに雇用促進計画を提出し、その達成状況の確認を受けている
なお、上記3の要件以外を満たしている場合は、移転又は増設した事業所における増加雇用者数(法人全体の増加雇用者数を上限とする)×20万円の税額控除が認められます。
さらに移転計画の場合は、上記に追加して最長で3年間、雇用を継続している限り対象事業年度のうち当該事業年度以前の各事業年度にその特定業務施設である事業所における増加雇用者数に30万円を乗じた金額の税額控除が認められます。
もともと移転を計画している法人にはメリットが大きい制度だと思いますが、本社機能等の移転等が必要であり、コールセンターを地方に創設するようなケースが上記の対象とはならないようですので、使い勝手がよいかといわれれば微妙なところではないでしょうか。
8.グリーン投資減税制度の見直し
即時償却が認められる対象資産から太陽光発電設備が除外された上で、グリーン投資減税制度の適用期限が1年延長されました。
9.生産等設備投資促進税制の廃止
生産等設備の取得価額の合計額が一定の額を超える場合に認められていた特別償却または税額控除の制度が平成27年3月末の適用期限をもって廃止されました。
今回はここまでとします。
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