車両買換え時に下取価格が時価を上回る場合の処理はどうなる?
法人でも個人でも車の買換えに伴って、価格高所の結果、下取価格を高くしてもらったということがあるのではないかと思います。
例えば、簿価100万円、通常下取価格110万円のところ、本体価格の値引はこれ以上難しいので下取価格を130万円にしてもらったというようなケースです。
さて、この場合の会計処理ですが、単純に考えると以下のようになります。
固定資産売却益 30
ところが、このようなケースでは時価を上回る部分は、新たに取得した車両の取得原価の値引きとして処理をすすべきという意見がありました。
そんな処理あったかなとネットで検索してみると、確かに時価以上の価額で資産を下取りした場合には、時価を上回る部分は新規取得資産の値引きとして処理をすると解説しているものをいくつか見かけました。
この処理の根拠として、取得原価主義云々と書かれているものもありましたが、実際のところは法人税法基本通達2-4-6がこの処理の根拠のようです。
法人税法基本通達2-4-6では以下のように述べられています。
(時価以上の価額で資産を下取りした場合の対価の額)
2-4-6 法人が長期割賦販売等に該当する資産の販売等を行うに当たり、頭金等として相手方の有する資産を下取りした場合において、当該資産につきその取得の時における価額を超える価額を取得価額としているときは、その超える部分の金額については取得価額に含めないものとし、その販売等をした資産については、その超える部分の金額に相当する値引きをして販売等をしたものとして取り扱う。
上記は、売却側の処理ですが、売却側で時価以上の価額で資産を下取りした場合に、時価を超過する部分を売上値引として処理するのであれば、購入側では仕入値引として処理すべきという理屈です。
ここから、上記の例のようなケースでは新規車両の取得原価の値引きとして処理するという処理につながるようです。
なるほど。ただ、現実問題として新規車両の取得原価の値引として処理するのは難しいと思います。というのは、価格交渉の過程で下取価格を高くしてもらったとしても、その車両の時価が本来は異なるということを説明することは非常に困難です。
車両の売買契約書に本来の時価というような記載はあるはずもなく、下取価格=時価と考えるほうが自然です。他の下取業者から見積をとるという方法も考えられますが、そこまでして時価がいくらなのかをする必要性も乏しいように感じます。
試験問題のように、簿価100万円、時価110万円、下取価格130万円といような条件設定された中での処理であれば、時価を上回る部分の処理という論点は考えられますが、実際の取引で考えると、簿価と下取価格の差額を固定資産売却損益で処理するというのが現実的と考えられます。
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