2年目からの単体開示簡素化で表示方法の変更の記載省略(漏れ?)は26社
経営財務3222号に「2期目からの単体簡素化・実施状況」という記事が掲載されていました。この記事によると、単体開示の簡素化を2年目から適用した会社の約4割が表示方法の変更の注記をしていなかったとのことです。
単体開示の簡素化については、簡素化に係る財規の項目を初めて適用する場合には、特例(財務諸表等規則第127条)が設けられており表示方法の変更の注記は不要とされていましたが、前事業年度において一つでも簡素化の規定を適用した場合には、「初めて」適用するケースに該当しないため原則どおり表示方法の変更の記載が必要となるとされていました。
この点についてASBJは、今年から簡素化を実施する会社に対して、省略可能な注記項目等を昨年一つでも適用した会社と特例非適用会社とを区別して留意点を説明しており、証券印刷のセミナー等でも同様の説明がなされていました。
実際に表示方法の変更を記載している事例を調べてみると、例えばスタンレー電気株式会社の2015年3月期の有価証券報告書では以下のような注記がなされていました。
(出典:2015年3月期有価証券報告書)
上記のケースではそれほど項目数が多い訳ではありませんが、記載が面倒であることは間違いありません。
経営財務の調べによると、2年目から単体開示の簡素化を開始した89社のうち18社については、初めての適用に該当したため、表示方法の変更として記載が必要となる会社は71社が該当しましたが、実際に上記のような表示方法の変更を記載したのはこのうち45社であったとのことです。
つまり、残りの26社については表示方法の記載を行っていなかったとのことです。
簡素化されてしまうくらいですから、単体財務諸表はあまり注目されないということかも知れませんが、そうはいっても監査人が単体開示の簡素化が行われていることに気づかないことはないでしょうから、監査人とも協議の上ということなのでしょう。
ASBJでも留意点として説明されていた項目を無視した26社が今後どのように取り扱われるのかは興味があるところです。
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