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全員取締役にして残業代を支払わないとどうなるか?-類設計室事件

労働判例のNo.1128に「類設計室(取締役塾職員・残業代)事件」(全員取締役制塾職員の労働者性と割増賃金請求)という判例が掲載されていました。

普通に考えて会社側の敗訴だろうという想像はつくものの、「全員取締役制塾職員」って何だ!という興味津々のタイトルです。

この訴訟で被告となった会社は関西圏で建築物ならびに都市開発の企画・設計及び工事管理のほか、学習塾の経営ならびに教育に関する調査・企画及び助言等を目的とする会社でしたが、割増賃金請求の訴えを起こしたのはこのうち学習塾の職員であった方でした。

会社全体の所員数は約520人でこのうち塾関連の所員数は300名以上だったそうです。

全員取締役ということは、取締役が300名以上いたということになります。気になるのは、全員登記していたのだろうかという点ですが、これについては、「現在は、取締役としての登記を行っていないが、平成20年6月までは全員の登記を行っていた。」とのことでした。

平成20年6月時点の取締役が何名登記されていたかは定かではありませんが、この訴訟の過程で確認された履歴事項全部証明書では、取締役会設置会社で、登記されていたのは取締役5名、監査役1名のみでした。

未払残業代請求が頻繁に起こるようになったのでその対策としてこのような制度を導入したのではないかという感じもしますが、登記をやめた理由を会社は「登記することにより、同業他社に人事情報を公開しているようなものであることが危惧されるようになったから」と説明しています。

そもそも、全員が取締役になるというのはどのような仕組みだったのかですが、これは以下のような取扱いとなっていたそうです。

同社では採用時に、冒頭に正社員は業務を執行する取締役に就任し株主となって会社経営に参加する旨が記載された参加条件通知書を提出させており、それには就業開始日、就業場所、業務内容、就業時間等なども記載されているとのことです。そして、同社に入社した者は、6ヶ月の試用期間を経た後、正社員となり、同時に株式を譲り受けて株主となり、さらに取締役への就任を承諾する旨の文書を差し入れているとのことです。

入社6ヶ月の試用期間を経過すると全員取締役というなんともすごい制度ですが、いったい給料(役員報酬?)はどの位だったのかというと、この事案の当事者の給与は月額23万円程度で、それに加えて賞与(金額のレベルは不明)が支給されていたとのことです。

取締役だから必ずしも報酬が高いとは限らないものの、同社の売上高は83億円、経常利益は12億円強であったそうですので、このような業績の水準からすると取締役としての報酬水準として月額23万円程度というのはやはりバランスを欠くものといえます。

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