閉じる
閉じる
閉じる
  1. 非財務情報開示強化に向けた動向
  2. 監査法人ハイビスカスに対する行政処分等を勧告
  3. 借入暗号資産の時価評価による評価損計上は可能?
  4. 賃上げ税制、宣言未達成でも適用の適否に影響なし
  5. 四半期報告書が廃止されても中間監査の復活はないようです
  6. 受取配当等益金不算入制度で多い誤りとは?
  7. メール送信する請求書ドラフトは電帳法対象外を応用すると…
  8. 四半期開示は結局どうなる?
  9. 取締役会議事録に記載しなければならない事項
  10. 意見不表明は極めて例外的な状況のみに許容される
閉じる

出る杭はもっと出ろ!

内規に基づき役員退職慰労金を支給しないとどうなる?

経営財務3259号に弁護士の小林公明氏の「退任者の内規に基づく会社及び代表取締役に対する請求」というQ&Aが掲載されていました。

この記事で解説されていた質問は、「退任取締役が、慰労金内規に基づいて、会社に対し慰労金支給又はその支給に関する株主総会決議を請求したので、会社は当該内規に則った慰労金支給議案を株主総会に提出しない旨を取締役会で決議したところ,その退任者は当該決議の無効を主張し、かつ代表取締役に対し任務懈怠に基づく損害賠償を請求してきたが、どうしたらよいか。」というものです。

これに対する回答は「会社は、退任者が当該内規に基づき請求する慰労金支給又はその支給に関する株主総会決議をする必要はなく、代表取締役も、会社と退任者との間に慰労金支給の特約のない限り、損害賠償請求に応じる必要はない。」というものでした。

お手盛り防止という会社法の趣旨から、役員退職慰労金の支給には定款の定めか株主総会での決議が必要であるところ、定款の定めも株主総会決議もなければ、退任役員は退職慰労金の支給を受けることはできないというのが基本的な考え方となります。

そうだとすると、役員退職慰労金の内規を有する会社の役員にとって気になるのは、「内規」ってなんだ?ということですが、「内規の機能は、株主総会の慰労金額決定の一任決議を受けて、取締役会が慰労金額を決定する際にそれに従うべき基準として取締役会を拘束するにすぎない」とされています。

そうだとすると、前提となる株主総会決議がなければ、基本的に内規は何の役にも立たないということになります。

では、内規において、役員が退任した場合には、株主総会に慰労金の支給の議案を提出しなければならないというような条文があったらどうなるのかですが、このような条文があっても「内規はその遵守が取締役の会社に対する善管注意義務(330,民644)の内容となり得るにとどまり、退任者の会社に対する請求の根拠とはならないと考えられる。」と解説されています。

そもそも、会社法において、株主総会に付議する議題の決定権限は、基本的に取締役会に専属しているため、内規があっても、取締役会で内規と異なる内容が決議されてしまえば、取締役会の決議が優先されるということです。

そうだとしても、内規どおりに退職慰労金が支給されるのが通例であったような場合には、会社と退任者との間に慰労金支給の特約があったとして、退職慰労金の支給を請求できないかが問題となりますが、平成3.7.17の東京高裁判決等から、これも基本的には難しいというのが答えとなっています。

代表取締役と意見が対立し、疎まれて役員を退任するようなケースで、退職慰労金の支給を受けられないということがあった場合にも同様の結論となるのだろうかという点は気になります。トレンドとしては退職慰労金は廃止方向にあるものの、仮にこのようなケースでも同様の結論となるのであれば、昨今のコーポレートガバナンスの充実という要請に逆行する要因となりかねません。

見せしめ的に退職慰労金を支給しないということであれば、公序良俗に反するということで争う余地はありそうですが、株主総会の決議がない以上、支給をうけることができないという状況に変わりはないので、支給に漕ぎ着くためのハードルは高そうです。

このようなことを考えると、特に上場会社では役員退職慰労金よりも、ストック・オプションを退職慰労金代わりにするというほうが、コーポレートガバナンス的には好ましいといえるのではないかと思います。

関連記事

  1. 自社株対価のM&Aが会社法でも可能になる模様

  2. 発行可能株式総数と設立時発行株式数

  3. 招集通知の日付記載は任意記載?

  4. 株主総会開催を決算日後4ヵ月以内とする事例がでてきました

  5. 配当金は持参債務-株主が海外に居住している場合はどうする?

  6. 会社法改正の議論がスタート




カテゴリー

最近の記事

ブログ統計情報

  • 11,989,360 アクセス
ページ上部へ戻る