4月(四半期)決算会社の平成28年度税制改正による減価償却方法の変更の取扱いは?
平成28年度税制改正によって、平成28年4月1日以後に取得した建物付属設備及び構築物の減価償却方法が定額法に一本化されたことをうけ、減価償却方法を変更する場合の取扱いについては、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱うという方向で実務対応報告の案が公表されているという点については以前も取り上げました。
上記の公開草案の意見募集が5月23日で締め切られ、今後検討がなされ最終版が公表されることになります。会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われるという結論に変更はないと思いますが、1月、4月、7月、10月決算会社は、そろそろ(四半期)決算短信を公表するにあたり、これをどう取り扱うのかが問題となります。
建物附属設備及び構築物について従来定率法を採用していた会社が今後も定率法を採用し続ける可能性は低く、定額法への変更を選択するのが通常だと考えられますが、この場合、会計方針の変更として記載すべきかどうかです。
上記のとおり、会計基準等の改正に伴う会計方針の変更として取り扱われることは概ね既定路線ではありますが、とはいえ、正式に確定していない以上、現時点では会計方針の変更を記載しても監査(ないしレビュー)上は、通常の会計方針の変更として判断せざるを得ないということになってしまうのではないかと考えられます。
四半期報告書の提出期限までには公開草案が確定する可能性もありますが、提出直前に記載を追加しなければならないことになるのも面倒です。
このような疑問を感じていたところ、昨日、公認会計士協会から公開草案に対する意見書が提出され、その中で適用時期について以下のようにコメントされていました。
平成 28 年4月1日以後最初に終了する四半期会計期間に係る四半期報告書の提出日が本実務対応報告の公表日前である場合、本公開草案第4項の注記は本実務対応報告の公表日後最初に到来する四半期会計期間又は事業年度に行うことでよいか。
ナイスなコメントです。ASBJも実務に混乱を招かないように配慮すると思いますので、適用時期については上記のような取扱いとなるのではないかと思います。そうだとすると、4月末に(四半期)決算期末をむかえる会社は、とりあえず今回は減価償却方法の変更については触れずにスルーできるということになります。
単なる推測なので異なる取扱いとなる可能性はありますが、昨日までに決算短信を開示した株式会社ヤガミ(平成28年4月期決算短信)、株式会社タキショー(平成29年1月期第1四半期決算短信)ではいずれも減価償却方法の変更についての記載はなされていませんでした。
仮に対象資産があったとしても、通常影響は軽微だと考えれられますので、とりあえず今回は触れないというのが現実的な対応ではないかと思います。
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