外債の受取利息の消費税の取扱いー課税売上割合に要注意
今回は、外債の受取利息の消費税の取扱いについてです。
何を今さらと思う方もいると思いますが、個人的にはすっかり頭から抜けていたので再確認することとしました。
外債といえども受取利息(有価証券利息)なので、消費税の取扱いとしては非課税取引に該当するというのは、通常の受取利息と同様です。
ただし、課税売上割合の計算上、外債の受取利息(あるいは外国の銀行から受け取った預金利息など)は、内国債や国内の銀行預金等の受取利息とは取扱いが異なります。
国内取引であれば非課税取引なのだから、国外との取引でも同様に取り扱えばよいだろうと考えてしまうと間違うことになるわけです。
つまり、「金銭の貸付けや国債等の取得で債務者が非居住者であるものについては、非課税資産の輸出等とみなされる取引として、課税売上割合の計算上、その受取利息の額を分母、分子の金額に含めることとされています。」(十訂版 実務家のための消費税実例回答集 木村剛志 編)
また、当該受取利息に関係する経費等がある場合(例えば、証券会社に対する購入手数料など)、仕入控除税額の計算において個別対応方式を採用している場合、これらの取引に要する課税仕入れ等の税額は、課税資産の譲渡等にのみ要するものとして全額を仕入税額控除の対象とすることができるという点も、国内債券からの利息とは取扱いが異なります。
したがって、外債等の利息を会計システムに計上する際に、国内債券等の利息と同じ税コードで処理してしまうと、結果的に課税売上割合が正しく計算されないこととなるので注意が必要となります。
もっとも、会社としては、課税売上割合が低く計算されることになってしまうため、間違ったとして税務調査で問題とされる可能性は低いと考えられます。また、仮に仕入税額控除が可能なところ、非課税売上に対するものとして控除していなかったとしても、やはり税額的には会社に不利なため問題となる可能性は低いと思われます。
とはいえ、払う必要のない税金を支払うのはもったいないので、適切に処理できるように注意が必要です。
2015年10月以降、電気利用通信役務についてはリバースチャージ方式が導入され、国際取引の消費税の取扱いがより複雑になっていますので、国際取引の消費税については別の機会に確認していこうと思います。