国際取引と消費税(その2)-内外判定1
<船荷証券の譲渡>
資産の譲渡の内外判定に関連して、消費税基本通達5-7-11では以下のように述べられています。
船荷証券の譲渡は、当該船荷証券に表彰されている貨物の譲渡であるから、原則として当該船荷証券の譲渡が行われる時において当該貨物が現実に所在している場所により国内取引に該当するかどうかを判定するのであるが、その船荷証券に表示されている「荷揚地」(PORT OF DISCHARGE)が国内である場合の当該船荷証券の譲渡については、その写しの保存を要件として国内取引に該当するものとして取り扱って差し支えない。
なお、本邦からの輸出貨物に係る船荷証券の譲渡は、当該貨物の荷揚地が国外であることから、国外取引に該当する。
そもそも、船荷証券は有価証券の譲渡で非課税なのでは?と考えてしまいそうですが、消費税法上、船荷証券は非課税とされる有価証券の範囲には含まれていません。
そして、船荷証券の譲渡は、証券に引渡請求権が表彰されている資産そのものの讓渡であるとの考え方により、その資産が国内にあるか国外にあるかで内外判定を行うのが原則的な考え方となります。
とはいえ、運送途中の貨物の「荷揚地」が国内であれば、いずれ国内に輸入され、その資産の譲渡は国内取引に該当することとなりますので、譲渡した船荷証券の写しを保存することを要件として国内取引として取り扱うことが認められています。
国内取引とすると消費税が課税されるの?ということになりますが、そうではなく一定の要件のもと外国貨物の譲渡(輸出免税取引)として取り扱うことが認められています。
では、購入した側はどうなるのかですが、購入側は原則通り国外に所在する資産の譲渡として消費税の対象外取引として取扱い、保税地域から貨物を引き取る際に課税される輸入消費税について仕入税額控除を受けるということになると考えられます。
<ノウハウに対して国外に支払う技術使用料>
国外に対して、技術使用料を支払う場合、特許権等の登録を要する権利に係るものであれば登録した機関の所在地(複数の国で登録している場合には貸付けを行う者の住所地)で内外判定を行うこととなりますが、ノウハウに対して国外に技術使用料を支払う場合は、貸付けをする者の住所地によりそれぞれ内外判定を行うこととなります。(国税庁 消費税質疑応答事例2)
なお、名称の問題ではありませんが「技術指導料は、技術指導という役務の提供の対価であり、国内において行われる技術指導の対価として支払われるものは課税の対象となります」とされています。
役務の提供の内外判定については次回以降とします。